このコロナ禍のなか、なんと平均年収が昨年(2020年)より126万円もアップした女性の仕事があるという!
パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」(デューダ)が、45万人の正社員から集めたデータをまとめた「女性の平均年収ランキング2021」を、2021年12月15日に発表した。
ほかにも113万円、112万円アップ......と、景気のいい話がゾロゾロ。いったい、どんな職種が女性たちを元気づけているのか!?
1位はリスクコンサルタントの平均年収670万円
調査結果によると、2021年の女性(正社員)の平均年収は345万円で、新型コロナウイルスの影響によって、昨年から約2万円減少した。また、全年代で年収400万円未満の人が半数を超え、男女格差が明らかになっている。しかし、そんななか、着実に年収をあげている職種がある。
職種別平均年収ランキングでは、「専門職」(コンサルティングファーム・専門事務所・監査法人)と「金融系専門職」がトップ10の半数以上を占めた=表1参照。昨年(2020年)から2つ順位を上げて初の1位になったのは「リスクコンサルタント」(平均年収670万円)。昨年から71万円アップした。
昨年は、上位3位までをコンサルティング系の職種が占めたが、今年は「金融系専門職」に分類される「投資銀行業務」(643万円)と「運用(ファンドマネジャー・ディーラー)」(620万円)が2位、3位にランクイン。この2つは、昨年からの年収額の上げ幅が大きかった職種トップ3にも入っており、最も大きな伸びを示した「運用」はプラス126万円にのぼった。2位は「投資銀行業務」のプラス113万円、「プロジェクトマネジメント」が3位でプラス112万円だった。
また、女性のすべての仕事165職種を11に分類した「職種別平均年収」の表をみると、昨年より年収額が一番上がったのは「金融系専門職」(367万円、9万円増)だった=表2参照。次に「専門職(コンサルティングファーム・専門事務所・監査法人)」(514万円、5万円増)、「事務・アシスタント職」(318万円、1万円増)、「企画・管理職」(438万円、1万円増)と続く。
逆に下がり幅が大きかったのは、「メディカル・化学・食品系エンジニア」(353万円、17万円減)、「IT・通信系エンジニア」(385万円、10万円減)、「クリエイティブ職」(339万円、9万円減)などだ。
トップ50までの表をみると、全体の傾向としては、「法務」(541万円)、「知的財産・特許」(537万円)といった「企画・管理職」が上位50職種のうち17職種ランクインして全体の約4分の1を占め、最多となった。
次いで多かったのは「営業職」で8職種。前回2位だった「コンサルティングファーム・専門事務所・監査法人専門職」は、今回3番目に多く7職種が入った=表1、3、4参照。
ITツール活用の対面しない営業がお得な年収に
今回の結果について、「doda」編集長の喜多恭子(きだ・きょうこ)さんは、こう解説している。
「平均年収は、全体的にみると昨年から微減の結果でしたが、コロナ禍で生まれた新しい働き方が、今後の女性のキャリアや年収アップの鍵になっています。職種別で1位の『リスクコンサルタント』は、昨年より71万円もアップしています。これは、役職で年収面に差が出る仕事とは異なり、本人の裁量が大きく、実績や専門性が年収に影響しやすいコンサルティング系の仕事だからです。
もう一つ、昨年からの変化で注目したいのが『営業職』。今回トップ50に8職種が入り、2番目に多い職種分類となりました。『営業職』は、新型コロナをきっかけに働き方が大きく変わった仕事です。ITツールの活用で対面しない営業活動が広がり、少ない時間で多くの顧客と接する機会が増えました。『時間あたりのパフォーマンスの出しやすさ』と『働きやすさ』は、女性が長期的にキャリアを積んでいくうえで大切な条件となっていきます」
女性がITツールを活用して、どんどん営業に進出することで、年収の大幅アップが望めるというわけだ。
なお調査は、2020年9月~2021年8月までの期間に、転職サービスの「doda」に登録した正社員の20~65歳男女約45万人を対象に実施。その中から女性のデータをピックアップした。年収は支給額ベース。
(福田和郎)