古代中国で神に近い存在だった虎【12月は、2022年をのぞき見する一冊】

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虎が新型コロナウイルスを退治するかも?

   虎はアジアの熱帯から温帯にかけて広く分布するのに、有史以来日本列島にはいなかった。「入用の竹には事を欠かずして虎の棲まざる国ぞ目出度き」という狂歌があるくらいだ。

   虎の皮は古くから日本に渡ってきたが、生きたトラ(ただしトラの子)が輸入されたのは、宇多天皇の治世、寛平2年(890)のことだった。これを写生させたことから一時、トラの絵が流行したという。

   本書には十二支についての伝承が収められているが、鼠や牛、兎、馬、犬などに比べると、ボリュームが少なく、なんとなく散漫な印象を受ける。やはり、日本に虎がいなかったことから伝承も少なかったのではないだろうか。

   年賀状に印刷された虎の絵を前に、どんな年にしようかと考えている人も多いだろう。虎が新型コロナウイルスを退治する......。古代において神に近い精霊のような存在だった「虎」に、そんな願いをかけてみた。(渡辺淳悦)

「十二支の民俗伝承」
石上七鞘著
おうふう
5060円(税込)

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