きょうは、企業におつとめの50代のEさんがいらっしゃっています。
「もうすぐ役職定年です。会社がすごく利益が出ているわけではないのに、この先70歳近くまで雇用延長して過ごすってことは、やっぱり『会社のお荷物』になっていくのかなって、不安も感じます。だからといって他に転職を考えていないですし、会社の役に立ちたいとも思っていますよ」
責任ある仕事からの喪失感
シニアの方が、仕事に対する意欲を失う理由の一つに、「仕事内容が変わった」「責任のあるポジションから抜けた」など、これまでの責任ある仕事からの喪失感があります。そして、仕事に対して消極的になったり、第一線から退いたため、隠居したような気持ちになったり、責任感を消失したりと、仕事に対する意欲自体をなくしてしまう人もいます。
雇用延長した人が必ずしも、仕事に対する意欲が低いわけではないのですが、シニア社員が増えていけば増えるほど、仕事に対する意欲が低い人が目立つようになってきてしまったのです。だから今、「シニア=お荷物社員」とまとめられてしまうのですね。Eさん、これはいい迷惑ですよね。
しかしながら、やっぱり「お荷物社員」になってしまう人は存在します。周りに何も影響を与えなかったらマシですが、仕事内容や給料に対しての愚痴を言ったり、忙しい中に雑談ばかりしていたり、責任がないからと勝手な行動をしたりと、周りに悪影響を与えてしまう人もいるんですね。
シニアの母数が増えていくほど、このような人が目立ってきてしまいます。
会社に貢献したいと思ったら......
大きなプロジェクト、金額の大きな案件など責任が大きいほど、仕事へのやりがいを感じていたシニアの方も多いでしょう。「責任の大きさ=やりがい」という定義から一度離れてみてはいかがでしょうか。必ずしも、「責任の大きさ=会社への貢献」でもありません。
これまでは企業自体が60歳までの雇用が当たり前だったので、会社の業績が右肩上がりに成長していない限り、雇用延長した方々への仕事をあらかじめ用意しているわけでもありません。企業も今は手探り状態で、雇用延長する方への仕事を捻出している状態だと思います。
そこで、目の前の仕事に興味がなかったとしても、
「この仕事の目的は?」
「どうやったらその目的を果たせるのか?」
と、まずは興味を持ってみてはいかがでしょうか。
これまで担当したことがない仕事、興味がない仕事に興味を持つことは難しいかもしれませんが、
「自分ならこの仕事をどう進めるか」
「改善点はないか」
など、考えてみると少しずつ楽しさを見つけられるのではないでしょうか。
今のシニアに求められていることは、自分たちで新しい仕事を作りだすことなのかもしれません。これまでの社会人経験、人生経験を生かすことはできるはずです。
「やりがい」は自分で見つけるしかない
「給料が下がっても、その分責任がないから気楽だ」
「責任が減るとこんなに伸び伸び仕事ができる」
「現役時代よりもオンとオフの切り替えがしやすい」
これは実際に雇用延長した人で、仕事にやりがいを持って働き続けている人の声です。
会社の中に「自分の居場所」「役割」を見いだせなくなると、仕事に対する「やりがい」を失ってしまいます。
目の前に置かれた状況にただ流されて仕事をするのではなく、まずは、自分の役割、自分の価値に向き合ってみましょう。
Eさんも、
「どんなことで役に立つことができるのか」
「自分は何に喜びを感じるのか、やりがいを感じるのか」
―― 今からぜひ、考えてみてはいかがでしょうか。そうすることで、これからどんな状況の中でも、自分自身で自分の役割を見出せるようになると思いますよ!
(ひろ子ママ)