宮城県、全国初「水道民営化」も根強い不安...メリットは?値上がり懸念は?(鷲尾香一)

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生活インフラなのに民間運営に委ねて、本当によいか?

   「みずむすびマネジメントみやぎ」の経営面で、こんな懸念がある。前置きとして説明すると、フランスのヴェオリア・ウォーター社、同じくフランスのスエズ・エンバイロメント社、イギリスのテムズ・ウォーター・ユーティリティーズ社の3社は、「ウォーターバロン」(水男爵)と呼ばれる。世界の水ビジネスをリードする企業に対するニックネームだ。ウォーターバロンは、2000年代初めに、世界の上下水道民営化市場におけるシェアが7割を超えるまでになった。

   実は今回、宮城県の水道事業運営権を獲得した「みずむすびマネジメントみやぎ」の中核企業のメタウォーターは国内企業だが、仏ヴェオリア・ウォーター社傘下にあたるヴェオリア・ジェネッツ社が議決権株式の51%を保有している。

   生き馬の目を抜くような国際ビジネスの世界に身を置く外資系企業が、過半数以上の議決権を持つ「みずむすびマネジメントみやぎ」が、不採算になっても地域住民や利用者を重視した水道事業を営んでいくとは思えない。

   生活インフラである水道事業を、採算や利益を重視する民間運営とすることは、本当に妥当な計画なのだろうか。宮城県は今後の日本の水道事業のあり方を考えるうえで、大きな試金石となるだろう。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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