・働き方改革でいったい何が変わったの? 会社で対応が必要なことは?
・未払い残業ってことばを目にしたけど、会社でも発生していないか心配?
・テレワークって何からはじめればいいの? 生産性は落ちない?
・そもそも、テレワークって在宅勤務のこと?
・休日・休業・休暇・年次有給休暇...... 休みにもいろいろあるけど何が違うの?
このような不安や疑問を解決する労務管理本を紹介します。
「労務管理の基本的なところ全部教えちゃいます」(漆原香奈恵著、佐藤麻衣子著)ソシム
労働者が知識を深める必要がある
いま、労働者はリスクに備えるために、労働法や雇用についての知識を底上げしています。従来であれば、専門性がなければ知り得なかった情報も入手できるようになりました。しかし、誤用している知識も多いことから、情報をアップデートする必要があります。世相を鑑みれば、労働者自身が知識を吸収しなければなりません。
正社員は期限の定めがない雇用契約なので、よほどのことがなければ解雇はできません。会社は次の解雇の4要件を満たさない限り、裁判で負ける可能性が高いからです。
1.人員整理の必要性
2.解雇回避努力義務の履行
3.被解雇者選定の合理性
4.手続きの妥当性
整理解雇であっても、手続きの妥当性が問われます。説明、協議、納得させるための手続きを踏まない限り無効とされるからです。そのため、人員整理の対象はまずは非正規社員に向かいます。非正規社員は契約期間が過ぎてしまえば、労働者でなくなるからです。パートも同じで、短期契約期間が満了すれば、更新される保証はまったくありません。
過去の判例では「非正規社員は正規社員より先行して解雇される」ことが明示されています。正社員を整理解雇するためには、非正規従業員の解雇を先行させなければ、解雇権の乱用にあたるとする判断が示されています。
非正規社員の次は正社員に移行します。影響度が大きければ、正社員も身分を失うことになります。
労働者こそしたたかになれ!
会社から退職を迫られるようになると、何らかの手段を打たないと、時間の経過とともに苦しい立場に追い込まれます。あなたの選択肢は2つあります。解雇措置の不当性を訴えて会社に残る道を模索するか、厳しい状況を覚悟しながら、次なる働き口を探すかです。即効性が高いのはユニオンでしょう。
緊急を要すると伝えれば、すぐに入会することが可能です。加入手続きをしたら、速やかに団体交渉の申し入れをするはずです。この時点で、会社は無視できなくなります。無視すれば、そのまま不当労働行為事件として認定されるからです。団体交渉が開始されれば、解雇はしにくくなりますので、あなたは時間を稼ぐことができます。
本書は読みながら、何からはじめればいいのか、どんなことに注意が必要なのか、1年間の労務管理のポイントや流れがわかるようになります。また働き方改革の法改正も網羅して、今の時代に求められる労務管理の基礎知識が理解できるでしょう。
また、新人社員に教える感覚でやさしく解説されていることが特徴です。さらに、各項目の冒頭にマンガを表示し、飽きさせない読みやすい流れに構成されています。
本書は、「人事総務部・労務管理部」向けの書籍ですが、平易であることから、労働者でも十分理解できる内容に仕上がっています。
労働者が正しく対峙するためにも(闘うという意味ではなく)情報収集は必要です。はじめての情報収集にいかがですか。
(尾藤克之)