「やっとスマホの乗り換えができる!」携帯大手3社のメアド持ち運び開始でネットは歓迎の声

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「これでようやくスマホを乗り換えることができるぞ!」

   携帯電話大手の顧客「囲い込み」の最後の牙城が崩れることになった。これまで携帯電話のメールアドレスは、他社に乗り換えると利用することができなかったが、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手3社が「持ち運び」サービスを始めることになったのだ。

   政府の強い要請を受けた形だが、ネットでは歓迎の声が起こっている。

  • 携帯電話の乗り換えがしやすくなる(写真はイメージ)
    携帯電話の乗り換えがしやすくなる(写真はイメージ)
  • 携帯電話の乗り換えがしやすくなる(写真はイメージ)

総務省の強い「要求」に屈した大手3社

   NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話大手3社は、「キャリアメール」と呼ばれる自社の携帯電話のメールアドレスを、他の通信会社に乗り換えても使えるようにする有料サービスを年内に始める。

   NTTドコモとKDDI(au)は2021年12月15日に公式サイトで発表。ソフトバンクも報道各社の問い合わせに「年内にサービスを始める。詳細は近日中に発表する」と答えている。

   3社のキャリアメールとは、アドレスが「@docomo.ne.jp」(NTTドコモ)、「@ezweb.ne.jp」(KDDI/au)、「@softbank.ne.jp」(ソフトバンク)などで終わるもの。これまでは、他社に乗り換えると利用できなくなっていた。

   ちなみに、楽天モバイルには大手3社のようなキャリアメールはない。

ドコモのメール持ち運びサービス(公式サイトより)
ドコモのメール持ち運びサービス(公式サイトより)

   最近では、LINEやインスタグラムなどのアプリが普及し、友人と連絡を取る際にメールを使う人は少なくなっている。また、大手3社のキャリアメールではなく、Gmailを使う人も少なくない。

   総務省が昨年(2020年)実施したアンケートでは、キャリアメールを週1回以上受信する人が68%を占め、キャリアメールの持ち運びを希望する人は74%にのぼった。また、他社への乗り換えを考えない理由にキャリアメールのアドレスが使えないことを挙げた人が20%いた。

   このため、「顧客の囲い込みにつながり、自由な競争を妨げている」として総務省が強く「持ち運び」の早期実現を求めており、大手3社は総務省の要求に屈した形だ。

auのメール持ち運びサービス(公式サイトより)
auのメール持ち運びサービス(公式サイトより)

   NTTドコモとKDDI(au)の「メール持ち運びサービス」の料金は、ともに1アドレス当たり月額330円(税込み)で、NTTドコモが12月16日から、KDDIは20日から始める。ソフトバンクも月額300円台になる見込みだ。

   このサービスを使えば、楽天モバイルを含むほかの携帯電話会社や、自社のahamo(アハモ=ドコモ)、povo(ポヴォ=KDDI)などのオンライン専用の格安プラン、また格安スマホ事業者(MVNO)などでも使えるようになる。

   大手3社が今春、政府の値下げ要請を受けて導入した「ahamo」や「povo」では、もともとキャリアメールのサービスを提供していなかったから利用者にとっては朗報だろう。

古い友人からのメールで乗り換えができなかった

   ネットでは歓迎の声が多い。ヤフーニュースのヤフコメ欄では、携帯電話の専門家たちが、こう指摘している。

   ITジャーナリストの山口健太氏は、乗り換えが加速しそうだと予測する。

「キャリアメールの全体的な利用量は縮小傾向にあり、たとえばシニア世代であっても、最近は子や孫に教えられてLINEやインスタを使うようになっています。問題は、昔の知人からたまに連絡が来るなど、アドレスが変わることでつながりを失ってしまう場合です。
この点を恐れて乗り換えをためらう人が多いと考えられます。総務省の調査では、74%の人が持ち運びできるならば『利用したい』と回答しています。月額300円程度なら負担も小さく、新料金やサブブランドへの乗り換えがさらに進みそうです」

   ネットリテラシー専門家の小木曽健氏は、ユーザーの要望と携帯大手の思惑が一致した結論だと説明する。

「この件、携帯3社が新たなキャンペーンを展開するチャンスであり、同時に『メアドは変わってもいい』というユーザーにも、お得に乗り換える好機となるかもしれません。キャリアメールは『メアドを変えたくない』ユーザーと『最初から使っていない』ユーザーに二極化しており、有償での『引っ越し』は適切な着地です。
以前は『登録にキャリアメールが必須』というサービスも存在しましたが、携帯市場がスマホ中心となり、LINEやGmailユーザーが増加した結果、ほぼ見かけなくなりました。一方で『何年も連絡していないけど関係は残しておきたい。だからメアドは変えたくない』という要望を持つユーザーもおり、ニーズと費用負担の公平性から、有償サービスでの提供という結論になったのだと思われます」

   ITジャーナリストの篠原修司氏は、

「『昔の知り合いや親世代の知人から連絡がくるかもしれないから』との理由で、キャリアを乗り換えられずに人にとっては朗報です。とくにオンライン専用プラン(格安プラン)にも対応していることはお財布にとってうれしいことでしょう。ただ、中長期的に見ればキャリア専用メールはもはや不要なものであるため、以前のキャリアメールは保持しつつ、利用するメールはGmailなどへと移行することをオススメします」

と、アドバイスする。

会員登録にメアドが必須な時代が長かった

   このほか、ヤフコメ欄には特にキャリアメールで多くの会員登録をしている人たちから喜ぶ声が相次いだ。

「キャリアメールでやりとりしている人もいるから、変えたくなかった。親とか高齢親戚はキャリアメールです。自分では登録の変更が出来ないらしい。昔から会員登録しているところはキャリアメールだし、キャリアメールしか登録できない時代があった」
「このサービス、待っていました! 携帯持ち始めて約20年、すでにキャリアメールでいろいろなものに会員登録している状態。その膨大な会員情報を一つひとつ引き継いで更新して... という労力を考えたら、結局、今のままでいいや、とずうっとなっていました。昔からの知り合いで高齢の人なんかは、自分でアドレス帳更新できないし、一部の人との連絡手段としても、私にとってキャリアメールはまだ必要です」
「あらゆるアプリのIDがメアドなので、それが変わるとなればいくつもIDの変更が必要になる。それは苦痛すぎるので、メアドそのままの乗り換えができればと検討している人にとっては助かる」
「今でこそGmailでも各種サービスが使えるようになってきたが、スマホが出始めた頃は使えないところもあった。周りを見ても、若い人たちは難なく乗り換えているが、中年以降になると腰が重かったのは、ここが結構大きかった。生きていると、色んなところでキャリアメールで登録しているからさ」
「子どもの学校からの連絡や、もろもろの会員登録の類はキャリアメールでやっていたので、機種変更が面倒だった。これを機に考えてみよう」

(福田和郎)

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