政府の「かかりつけ薬局」シフトが追い風
こうした中で日本経済新聞が11月2日に報じた記事が「5年で4割増2000店へ」。8月末で1435ある店舗数を、年120店程度の出店を続けることで、閉店も踏まえて5年かけて2000店体制にするというものだ。スギHDの特徴である調剤薬局併設型を展開していくことでもある。政府が医療機関近くに調剤薬局を置く従来型の「門前薬局」から、患者中心の「かかりつけ薬局」へのシフトを推進していることも追い風になる。
半面、薬剤師の争奪戦は激化しつつあり、今後のコスト増要因となるのは確実だ。大和証券は中間決算の時点で「経費抑制も、薬剤師の中途採用などで人件費上振れ、課題残る」と指摘していたが、さらなる人件費増が見えてきたことで、ジワジワと株価が押し下げられているようだ。
他方、野村証券は11月15日付のリポートで「安定的な集客や顧客ロイヤルティ向上を実現できる調剤事業は中長期的な成長が見込める」と記しており、悲観一色ではない。
スギHDがいかにして店舗網を拡大し、より業界上位を目指すのか、その手法に市場は目をこらしていると言えそうだ。
(ジャーナリスト 済田経夫)