週刊東洋経済は「株の道場 新年相場編」を特集 週刊エコノミストは「日本経済総予測」、週刊ダイヤモンドは「生前贈与」

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   「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

   「週刊東洋経済」(2021年12月18日号)の特集は「株の道場 新年相場編」。「会社四季報新春号」を先取りした2022年の注目株を取り上げている。

  • 「週刊東洋経済」が予測!? 2022年の相場はどうなる……
    「週刊東洋経済」が予測!? 2022年の相場はどうなる……
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株価上昇と収入増の「二刀流銘柄」はこれだ!

「週刊東洋経済」2021年12月18日号
「週刊東洋経済」2021年12月18日号

   12月15日に発売される「会社四季報」新春号に基づくランキングが多数掲載されている。「好業績」による株価上昇と、「高配当」による収入増の両方を狙える「二刀流銘柄」を冒頭で紹介している。

   1位は日本電子材料。半導体集積回路の検査部品であるプローブカードのメーカーとして国内2位。最高益更新率は69.4%と驚異的だ。会社は下期に需要の端境期が来ると想定しているが、四季報では会社計画は保守的とみて増額している。

   2位は信越化学工業。半導体シリコンウェハーと塩化ビニール樹脂で世界最大手。会社計画を1000億円以上、上回る今期純利益を四季報は予想している。

   会社計画を四季報が独自に増額している「乖離額」の大きさランキングでは、1位は総合化学メーカー大手の東ソー。塩ビ樹脂やエチレンアミンといった主要製品の市況が上振れしており、採算が急改善している。3位はバンダイナムコホールディングス。9月に発売した家庭用ゲーム「テイルズオブ アライズ」が初月で100万本を超えるヒット。22年2月に発売する「エルデンリング」は初年度400万本が見込める。

   「乖離率」の1位はモスフードサービス。既存店売上高は巣ごもり需要などで前年声が続き、会社計画を上回る営業利益が達成できそうだ、と予想している。

   来期の売上高営業利益率が今期に比べ、どれだけ改善するかをランキングした「新年期待銘柄」を見てみよう。1位は東海旅客鉄道(JR東海)だ。コロナ禍が落ち着き、長距離輸送が持ち直せば、一気に利益が回復しそうだ。2位はソフトバンクグループ、3位は高級ホテルへの投資や運営を行うウェルス・マネジメント、4位はゲーム会社のミクシィ、5位はパチンコ・パチスロ大手のユニバーサルエンターテインメントとなっている。

   個人投資家に銘柄の分析法を教える複眼経済塾の渡部清二塾長が10倍株を探すノウハウを伝授している。投資の「三種の神器」は、四季報読破、日経新聞の切り抜き、日米の株価・金利、ドル円、原油価格、主な出来事を記録した指標ノートだという。

    2022年の株式市場で話題になりそうなテーマと関連銘柄も取り上げている。三木証券投資情報課長の北澤淳氏の注目テーマは以下のとおりだ。

国産ワクチン開発、Go To トラベル、自動車電動化、半導体の国内生産、再エネ導入拡大、地方DX、子育て支援、国土強靭化

   国産ワクチンの開発で有望な塩野義製薬、第一三共、明治ホールディングスに注目している。

   一方、SBI証券投資情報部長の鈴木英之氏が注目するテーマは以下のとおり。

デジタル通貨、イベント、外出、半導体、メタバース、VR・AR技術と活用

   デジタル通貨に関連して、インターネットイニシアティブ、フューチャー、KDDIに注目している。

   四季報の先取りコメントには、これらの企業の動きが紹介されている。四季報を熟読するのが投資の基本になることは間違いない。

家計の「強制貯蓄」30兆円が消費に流れ出す

「週刊エコノミスト」2021年12月21日号
「週刊エコノミスト」2021年12月21日号

   「週刊エコノミスト」(2021年12月21日号)の特集は、「日本経済総予測 2022」だ。2022年の日本経済を展望すると「コロナ禍からの回復」が基本シナリオになりそうだ、と見ている。

   主要金融機関やシンクタンク10機関の予想を平均すると、22年度の実質GDP成長率は3.2%。20年度実績(マイナス4.4%)を底に、21年度予想(2.7%)から穏やかな回復との見方が目立つ。

   22年の景気を占ううえでカギを握るのが、個人消費の回復だ。コロナ禍で家計に「強制的に貯めこまれた貯蓄」は、30兆円規模に迫ると見られる。この「強制貯蓄」がどれだけ消費に流れ出すかが焦点だという。「リベンジ消費で景気が加速する可能性がある一方、カネ余りが生んだ局所的バブルが弾けて景気を冷やすリスクがくすぶる」と、冒頭のリポートは結んでいる。

   株式市場の行方について、株式市場を見続けて50年の平野憲一氏(ケイ・アセット代表)は、日経平均株価は年度内に3万2000円、場合によっては来年3万5000円の水準もありうると楽観的な見方をしている。 外国人の日本株投資の理由として、日本株の安心感を挙げている。来年注目しているセクターは半導体だ。日本の命運がかかる次世代の無線通信規格「6G」関連が中心になるのは間違いない、としている。

   テレワークでオフィス需要が減るとの見方で株価が低迷していた不動産や建設にも注目している。

   為替市場では円安が進んでいる。「米国の金利が上昇し、日米金利差が開いていけば、5月に1ドル=130円くらいの水準があると見ている。ただ、今の円安の本質は『日本売り』だ。日本の衰退を予想して円を売っている」と話している。

   リポートでは「料理ユーチューバーが人気、若者に内食ブーム到来」という藤原裕之氏(センスクリエイト総合研究所代表)に注目した。有名料理人も相次ぎ発信し、動画を見た新規顧客が増えているという。

   内食比率の高まりは外食産業の低迷を意味していないという。内食市場を視野に入れて、外食産業はこれまでにない魅力的な価値を提供する産業に生まれ変わる可能性があるという指摘は新鮮だ。

駆け込み贈与 最後のチャンス

「週刊ダイヤモンド」2021年12月18日号
「週刊ダイヤモンド」2021年12月18日号

   「週刊ダイヤモンド」(2021年12月18日号)は、「年末年始に家族と話す! 生前贈与」という特集を組んでいる。2022年から相続税と贈与税が一体化する税制改正が行われる可能性がある。今年と来年の2回、駆け込み贈与をすることによって節税できるチャンスがあるというのだ。

   首都圏では、資産家でなくとも北は上尾、西は高尾までほぼ全域で相続税が発生するというマップが驚きだ。約50坪の一軒家の場合、埼玉県川越市でも約150万円発生する。山手線の駅周辺では数千万円にもなる。生前贈与と相続の基本から節税テクニック、落とし穴まで、あれこれ紹介している。

   財産目録をつくり、贈与する相手・金額を決める贈与の流れをカレンダーでまとめている。贈与契約書の書き方、贈与税の申告書の書き方、税務調査回避チェックリストなど実用的な記事もある。

   第2特集は、大学3年生が選んだ就職人気企業ランキングだ。コロナ禍で様変わりした環境の中で、変化した学生の意識を探っている。

   文系男子のランキングでは、伊藤忠商事が3年連続で1位となったほか、三菱商事が3位とトップ10に総合商社が2社ランクインした。大手金融機関では東京海上日動火災保険(2位)、三井住友海上火災保険(4位)、損害保険ジャパン(7位)と損害保険業界も人気だ。生命保険業界も2社がトップ10入り。

   一方でメガバンクは伸び悩んだ。三井住友銀行(18位)、三菱UFJ銀行(25位)、みずほフィナンシャルグループ(52位)という結果。総じて学生の安定志向が目立つ、と分析している。

   理系男子ではIT・メーカーに人気が集まっている。1位はNTTデータ、2位が伊藤忠商事、3位が野村総合研究所となっている。

   文系女子では1位東京海上日動火災保険、2位伊藤忠商事、3位三井住友海上火災保険、4位講談社、5位日本生命保険。理系女性では1位明治グループ(明治・MeijiSeikaファルマ)が2年連続で1位に。2位がNTT都市開発、3位が三井不動産。新型コロナウイルスによる業績の影響が比較的少なく、話題性のある再開発案件に欠かせない不動産ディベロッパーやゼネコンの人気が高い。

   学生は彼らなりの感覚で業界の消長を感じ取っている。長い間人気を集めていた旅行業界やマスコミ業界はランキング上位から姿を消している。人気投票と言って侮れない指標である。

(渡辺淳悦)

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