きょうは、企業にお勤めの50代のCさんがいらっしゃっています。
「最近、話題になっている『ベーシックインカム』ですが、本当に実現されるんでしょうか。日本でも収入の二極化がますます広がっていて、高所得と低所得の両方の人が増えているといわれていますよね。『AIとベーシックインカムはセット』というような話も耳にしますが、私たち50代世代は変化に対して、どんな備えをしたらいいのかな」
コロナ禍でAIが加速...... 仕事減り、格差拡大
コロナ禍によって非対面のやり取りが増えたことで、自動化やAIの導入が加速したといわれています。今後もこの流れはさらに加速していくでしょう。2017年に政府の「人工知能技術戦略会議」では、2030年までに物流を完全無人化する計画を発表しています。 2030年までに実現可能かはわかりませんが、ドローンや自動運転などを活用した実験が進められています。特に運送業では運転手などの人手不足が深刻で、AIによって人手不足の解消を期待されているわけですが、それによって仕事を失う人も出てくるということです。
そして、今後はさらにAIの開発を行うような高所得の頭脳労働者の雇用や、AIが苦手とする手作業などの肉体労働者の雇用は増えるともいいます。直近でAIに仕事が奪われるのは、事務職やコールセンターのスタッフなどの中間所得層の仕事とされ、高所得層、低所得層が増え、所得の格差が今後ますます広がるといわれます。
これを解消するのが「ベーシックインカム」。AIによって雇用が減り、所得の格差が拡大するため、最低限の生活を保障する政策のことです。
このような話を聞くと、中間所得層の仕事が減っていくと、雇用延長した際の仕事がなくなってしまうのではないかと不安を感じますよね。でも、その可能性は高いと予想されているのです。今からぜひ、AIに代替されない仕事につけるように準備が必要です。
2030年はあっという間にやってきます。Cさん、雇用延長の時期になってから焦っても遅いですよ。
もし、ベーシックインカムが導入されたら?
昨今では70歳以上の方の仕事といえば、たとえば道路の交通誘導員やタクシーの運転手などが思い浮かぶのではないでしょうか。しかし、2030年にはAIによって肉体労働も減るともいわれているのです。これでは本当にさまざまな仕事がなくなってしまうということです。
さらに、日本では2025年に、団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になり、医療費や介護費用が増えます。そして、2040年は65歳以上の高齢者が最も増えるそうですよ。Cさんも、この頃は65歳以上ですね。将来的なお金の心配も、いよいよ人ごとじゃなくなってきますね。
ここに、Cさんの老後にベーシックインカムが導入されたら、生活が保障され心に余裕が生まれるなどのメリットが考えられます。老後は、ベーシックインカムの導入で安泰だ! と思いたいところですが、実際にベーシックインカムを導入するには国の財源の確保など、クリアしないといけない問題が盛りだくさんです。
ベーシックインカムを期待しても、Cさんが生きているうちに導入されるかどうかなど、わかりません。楽することは考えずに、AIに代替できないスキル、たとえば「人間的な感覚・感情」「コミュニケーション」「創造力」「マネジメント(経営・管理)」などを、ぜひ鍛えておきましょう。
生涯現役をどう生きていくか、社会全体で考えていくべき課題だと思いますが、Cさんも個人で考えていかなくてはいけませんね。
(ひろ子ママ)