女性誌の読者モデルでは花形の肩書だったが...
今どき大学卒業後に「家事手伝い」はアリなのか、という論争について、J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部は、女性の働き方に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに話を聞いた。
――この投稿と回答者たちの反響を読み、率直にどのような感想を持ちましたか?
川上敬太郎さん「投稿者さんが娘さんを心配する気持ちは痛いほど伝わってきますが、それ以上に娘さんご自身の意思がどうなのかが気になりました。また、回答者さんたちの声は辛辣なものが多いように思いますが、投稿者さんや娘さんが置かれている状況に対する理解についてはさまざまだと感じました」
――今回、「家事手伝い」という死語になったキーワードがクローズアップされました。昭和の時代には「家事手伝い」は立派な肩書で、新聞記事でも普通に使われていたし、女性誌の読者モデルでも「お嬢様」のイメージが強いので、高校・大学の同窓会名簿でも、卒業後の進路について「家事手伝い」と書く女性がけっこういました。
川上さん「『家事手伝い』という肩書きは知っていますが、私の周囲では、『家事手伝い』と名乗る友人がいた記憶はありません。大学を卒業して20数年が経ちますが、友人女性たちはみなさん卒業後すぐに何らかの仕事に就いており、私の世代では、『家事手伝い』を名乗る機会そのものが非常に少なくなっていたように思います」
――「家事手伝い」について、川上さんが研究顧問をされている働く女性の実態を調べている「しゅふJOB総研」で調査したことはありますか?
川上さん「『家事手伝い』についての調査ではありませんが、『家事代行業』を含めて、消費者と働き手双方の立場から『家事』のニーズについて仕事と家庭の両立を希望する主婦層に調査したことがあります。
金銭負担を考慮せずに済むのであれば、子育てと仕事の両立のために利用してみたいサービスの1位は『家事代行』で56%と過半数でした。一方で、自分自身の家事や子育て経験を活かして、サービスとして提供したいというニーズについては、『家事代行』は4位で19%と2割にも及びません。
つまり、『家事』は利用者としてのニーズは高いものの、自らが『家事』スキルを提供する側になると人気は高くないのです。働く主婦にとって、家事がいかに負担であるかを、如実に物語る結果ではないかと思います。裏を返すと、それだけニーズが多い『家事代行』は働き手にとって、狙い目の職種だとも言えそうです」