米テスラを追い越せるか!? 日産EV巻き返しへ全力 次世代「全固体電池」の実用化急ぐ

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日産のEV技術、失地回復への「壁」

   ただ、全固体電池の開発は大半のメーカーが競っており、たとえばトヨタは2020年代前半の実用化を目指すと表明している(当初はEVではなくHVへの搭載を予定)。日産の「2028年、量産開始」という目標は、決して早いとはいえない。

   いずれにせよ、全個体電池の実用化まであと数年。電動化に向け、国内外の大手メーカーの投資競争にすでに火がついており、トヨタが電池だけで30年まで1.5兆円を投じ、EVと、水素で発電しながら走る燃料電池車(FCV)を30年に200万台販売する目標を掲げるほか、ホンダは今後6年間に研究開発に全体で5兆円を充て、40年にはすべてをEVかFCVにすることを打ち出している。

   海外でも、独フォルクスワーゲン(VW)は30年に5割をEVにするとして、そのために25年までに350億ユーロ(約4.5兆円)を投資。米ゼネラル・モータース(GM)は自動運転などを含め25年までに350億ドル(約4兆円)を投じ、35年にエンジン車の販売を終了する目標を掲げている。

   内外メーカーがEVを中心に投資競争、開発競争を繰り広げる世界の自動車業界。そこでの優劣を全固体電池が大きく左右するのは疑いない。

   内田社長兼CEOは今回の長期ビジョン発表会見で、

「私たちが今、全固体電池の自社開発を自信をもって発表できるのは、この30年間の経験と、初代日産リーフ発売から11年間、市場に安全な電池を送り出してきた実績があるからだ」

   と胸を張った。

   日産が約30年前に車載用リチウムイオン電池の自社開発に着手し、基礎的な研究を重ね、内製による量産化に成功した実績への自信だ。

   日産が思い描くように全固体電池の自社開発は順当に進むのか――。実用化まであと数年といわれる全固体電池の開発をめぐり、日産はじめ国内外の大手メーカーの開発競争が激しさを増す。(ジャーナリスト 済田経夫)

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