リアリティに欠ける? トラの絵画や文学
虎が野生で生息した中国には虎に関する話も多い。虎の皮を着た男が子どもを食い殺した話(「太平広記)、虎の出産を手伝った婦人の家に、その後獣の肉が再三届けられるようになった話(「捜神記」)、虎と素手で戦い、絶命させた「水滸伝」の豪傑・武松らが紹介されている。
日本でも絵画や文学に虎をモチーフにしたものは少なくないが、毛皮を見て虎を描いた円山応挙をはじめ、どうもリアリティに欠けるようだ。それでもネコ科の代表として、虎は敬愛され、親しまれてきた。
本書を読んでも動物としての虎についての知見は少ないが、文化的には親しまれる存在であることがわかる。
「虎の目にも涙」
福井栄一著
技報堂出版
1760円(税込)