広がる「ブックカフェ」ブーム 生き残りへ入場料を求める書店も登場

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書店経営に一石を投じた「入場料制」

   こうした多様な店作りが広がっている背景にあるのは、言うまでもなく、紙の本離れと書店離れだ。ネットでの情報収集が当たり前になり、電子書籍の拡大に加え、紙の本もアマゾンなどのネット通販が広がり、書店で本を買う人が減っているのだ。ネット通販はわざわざ書店に行って本を探すより、手軽で素早く本を入手できる。

   出版取次最大手、日本出版販売(日販)によれば、2020年度の書店経由の出版物の販売額は全体の6割を割り込んでいるのに対し、ネット経由の販売額は2割に迫る勢いだ。販売ルートは他に出版社の直販などがあるが、ネット経由だけが急速に伸び、その分、書店ルートは細る一方だ。

   このため全国で書店の倒産や廃業など減少が続き、調査会社アルメディアによれば、2020年の書店数は約1万1000店で、2万店を超えていた20年前から半減している。

   こうした環境下で、なんとか書店の魅力を高め、お客に足を運んでもらおうというのが新しい店作りの目的だ。冒頭の文喫を運営しているのは日販グループだが、書籍を卸す会社として書店の苦境を無視できず、書店のあり方に一石を投じるとともに、本を売るだけではなく、入場料をとるという新しい利益構造を作ることで、書店の運営を見直そうという狙いもある。

   ネット通販の猛攻に書店は有効な対抗手段がないのが実情だ。だが、苦境に直面する中で始めたさまざまな取り組みが、新たな書店の未来を生む可能性もある。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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