葬儀社と自衛隊が愛用する意外な理由は
確かにこのように「懐かしむコール」は多いが、スマートフォン全盛の今、「伝説のガラケー」を復活させても果たして売れるのだろうか。KDDI(au)は狙いをどこに定めているのか。J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部は、KDDI渉外・広報本部の担当者、中尾亮介さんに話を聞いた。
――あえて今、9年前に生産を中止した『ガラケー』を復活させた狙いはどこにあるのですか。
中尾亮介さん「G'zOneシリーズには、根強いファンがいます。農林水産業や建設工事現場の方々だけでなく、アウトドアを愛する人々を中心に、今でも使い続けて人が多くいます。正確な数は申し上げられませんが、現在でも数万人が使用しています。ほかのフューチャーフォンと違って、3Gが終わっても使い続けたいという、いわばガラケーに対する『忠誠心』が強い方々なのですね。そうした方々から『残してほしい』という要望が届いていました。
たとえば私も意外に思ったのは、葬儀社の方から、『G'zOne』が便利だから使っていますよ、と聞いたことです。葬儀社の方は風雨がどんなに強くても、レインコートを着ないで外に立ち続けなくてはなりません。そんな時、雨に濡れても大丈夫で、ボタン式で話しやすく、また音声が大きく、風雨の音にもかき消されない『G'zOne』は重宝しているとのことでした。 また、一般的な聞いた話になりますが、自衛隊の方にもご利用いただいているとうかがいました」
――なるほど。しかし、これからは5G(第5世代移動通信システム)の時代に入ります。なぜ、従来の4Gにとどめて、5Gの対応をしなかったのですか。
中尾さん「基本的にお客様が何を求めているかを考えると、アウトドアで電池持ちして充電せずに何日も使えること、風雨にも耐えて頑丈であること、また、価格の安さの問題もあります。5G対応にして価格が高くなってもよいのかというバランスも考えました。
また、G'zOneのファンの方々は、カシオさんが携帯電話を続けていた頃からの愛好者が多く、40代~60歳代が中心になります。この方々は、過酷な環境で電話ができることを求めています。5Gに対応したスマートフォンにあるさまざまな機能をつけるより、タフネスケータイの利用しやすさを追求した結果、4Gでいいだろうという結論に達しました」