最先端の機能を満載したスマートフォン全盛の時代に、あの「伝説の最強二つ折りで武骨なデザインの「G'zOne TYPE-XX」(KDDIの公式サイトより)」が戻ってきた!
KDDI(au)は2021年12月10日に、押しボタン式で折りたためる旧来型の「ガラケー」の新機種を発売する。
かつて、「クルマで踏みつぶしても壊れない」として人気を誇ったタフネス携帯の復活モデルだ。イマドキ、そんな武骨な携帯電話に需要があるのだろうか。担当者に聞いた。
「クルマで踏みつぶしても壊れない」頑丈さがウリ
KDDI(au)の12月6日の発表によると、発売する新機種はDDI(第二電電=KDDIの前身の1社)が2000年から12年にかけて販売していた「G'zOne」(ジーズワン)と呼ばれるシリーズの復活モデルだ。
「G'zOne」は、カシオ計算機が米軍も使った超タフネスな時計の人気ブランド「G‐SHOCK」(ジーショック)で培った頑丈さを追求する技術を携帯電話作りに投入。2メートル近い高さから落としても壊れない耐久性、押しボタン式で作業用手袋をしたままでも操作できる便利さ、スマホのように意図しない接触による誤作動もないなどの理由で、建設・工事現場や農林水産業で働く人、登山などアウトドアの人に一定の人気があった。
しかし、カシオ計算機が携帯電話事業から撤退したのを機に、2012年で生産を中止した。
新機種の「G'zOne TYPE-XX」(ジーズワン・タイプダブルエックス)は9年ぶりの復活で、カシオ計算機がデザインを担当、京セラが製造を手がける。ガラケーは1世代前の通信規格である「3G」対応が一般的だが、KDDIが「3G」サービスを来年(2022年)3月末で終了させるため、ガラケー存続を願うニーズに応えた。現在主流の通信規格「4G」に対応する。
小売価格は5万2800円(税込み)だが、3Gの終了に伴う移行支援措置を利用できるG'zOneのユーザーは無償で新機種に交換できる。
KDDIによると、スマートフォンが主流の今も、二つ折りのG'zOneにはファンが多く、
「土を触る仕事のためスマホを操作しづらく、ボタンタイプが手放せない」「アウトドアには水に濡れても安心なガラケーが欠かせない」
という声が届いていたという。
そこで、新機種はさらに頑丈さを進化させた。米国防総省(米軍)の備品調達規格に定められた耐環境試験に通過している。1.8メートルの高さから製品を鉄板やコンクリートに26方向から落下させる試験をはじめ、直射日光、粉塵、低圧、水流、高温、高湿度、振動など19項目の荒っぽいテストに耐えた。すべて、アウトドアの厳しい環境でも使えるようにするためだ。