コロナ禍、病床数の確保できなくて当たり前? 医療ひっ迫でも病院数・病床数は大きく減少していた!(鷲尾香一)

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「非常事態」でも、国は病床数の削減方針を取り下げない

   今回発表された9月末の「医療施設動態調査」によって、2020年1月からの新型コロナウイルスの感染拡大の中で、2021年9月までの間に病院は74減少し、病床数も2143減少していたことが明らかになった=下表2参照

   一般診療所でも、診療所は1862も増加したにもかかわらず、病床数は5484も減少している。

   ところが、新型コロナ感染拡大の中で奮闘したのが、厚労省が2019年4月に再編・統合が必要とした424病院だった。これらの病院の多くは、感染症指定医療機関だったのだ。

   赤字体質で、診療実績が少なく、非効率な医療を実施していると指摘され、再編・統合が必要と名指しされた病院の多くが、新型コロナの感染拡大の中にあって、通常の診療を控え、赤字が拡大するのを覚悟のうえで、新型コロナウイルスの感染症患者を引き受け、結果的にかろうじて医療崩壊を免れたのだ。

   病院の必要性を経済合理性だけで判断したことの過ちに対して、こうした非常事態を経てもなお、国は病院と病床数の削減方針を取り下げてはいない。その経験則は、まったく生かされてはいないのだ。

   病院の必要性は、国民の健康維持を第一義に考え、今後も発生する新型コロナウイルスのような伝染病対策のあり方にも目配りをしたうえで、議論を進めることが肝要だ。(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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