「最後に、あなたのほうで何か質問はありますか?」
採用面接の終わりに、お約束のようにこう聞かれることがある。
この「逆質問」の内容次第では、面接官に「積極的だな!」と好印象を残せる場合もあるし、逆によけいなことを聞いてヤブヘビになることもある。はたまた何も聞かないと「消極的だな」と一発アウトの心配もある。
あれやこれやで悩み多き「逆質問」だが、何を聞くのがベストなのか――。転職支援サービスのビズヒッツ(三重県鈴鹿市)が、「【面接での逆質問ランキング】経験者500人アンケート調査」を実施。参考になりそうだ。
「即戦力になるには何を準備しておけばよいか」
調査によると、面接で逆質問をしたことがあるかと聞くと、「ある」と答えた人が73.6%で4人に3人が質問をしていた。逆質問をした理由は、
「質問の答えによっては、選考辞退せざるを得ない場合もあったからです」(女性、面接時29歳)
「求人票だけではわからないことがあるし、印象を残したかったので」(女性、面接時30歳)
「逆質問をしないと志望意欲・動機が薄いと思われるからです」(男性、面接時44歳)
などと、逆質問によって「意欲的だ」という印象を残したかった人が大半だった。
では、どんなことを聞いたのか。複数の答えを聞いたところ、一番多かったのが、「入社までに何を準備しておけばいいですか」という趣旨の質問だ。その具体的な聞き方と狙いはこうだ。
「(御社の)即戦力になるためにはどのような経験や勉強を行えばいいでしょうか」(男性、面接時25歳)
「採用していただけるとしたら、事前に勉強しておくことや、準備しておいたほうがいいことがあれば教えてください」(女性、面接時32歳)
「入社が決まったとしたら、何をしておいたほうがいいのでしょうか」(女性、面接時40歳)
といった案配で、早くも入社後の仕事への熱意をアピールした人がほとんどだった。
2位は仕事の内容を詳しく聞くもの。こんな具合だ。
「採用された場合、1日の業務の流れを教えてください」(女性、面接時25歳)
「入社後の業務について、よければ少し詳しく教えてもらえますか」(男性、面接時30歳)
「入社した場合に自分に任されるプロジェクトの概要・役割・仕事内容について教えてください」(男性、面接時40歳)
業務内容の概要は求人票に記載されているはずが、「1日の流れや繁忙期」「入社後の役割」「仕事で使うソフトの種類」「業務のスピード感」「客層」などを、さらに深掘りして聞く人も少なくない。
求人票に記載された仕事内容を理解したうえで、的を射た質問ができれば、これはこれで仕事に対する意欲をアピールできる高等戦術だ。
3位は、社内の人間関係や雰囲気に関する質問。
「風通しのよい会社と評判だったので、社風について質問。とくに上司と部下の関係性や、社員同士のコミュニケーションについて聞きました」(男性、面接時26歳)
社風や人間関係の質問は、「人間関係は良好ですか」などと聞いても漠然として面接官は答えにくい。そこで、「部下は上司をどのように呼んでいますか」「若手社員の提案で、商品化につながった例はありますか」などと、具体的な取り組みや社員の行動を聞くと、面接官も答えやすく、好印象を残せるのだ。
面接官の懐に飛び込む「危険な賭け」の裏ワザも
4位は1種の裏ワザである。面接官自身に自分の体験やエピソードを「逆質問」して、懐に飛び込むのだ。
「お客様に言われて一番嬉しかった言葉やできごとを教えてください」(女性、面接時21歳)
「なぜこの会社に入ろうと思ったのでしょうか」(女性、面接時29歳)
「面接官の入社動機や現在の仕事のやりがいを質問しました」(男性、面接時33歳)
面接官個人の「仕事のやりがい」「壁にぶつかったときにどう乗り越えたか」「個人目標の立て方」「入社後に感じたギャップ」などについて聞いた人が多い。
う~ん。これは、親しみを持たれて「好印象」を残せるか、逆に「小賢しい質問だ」と反感を持たれるか、危険な賭けかもしれない。
なお、調査は就職・転職時に面接を受けたことがある人を対象に2021年10月9日~12日に実施。500人(女性325人・男性175人)から回答を得た。2021年11月18日の発表。
(福田和郎)