地方でもデジタル化・脱炭素化
グリーンエネルギーの拡大には「規模の経済性」が必要だという。資本設備への投資を生み出すには、民間投資の盛り上がりも必要で、サステナブルファイナンスがカギとなる。それには現在の低金利状態が続くことが重要なマクロ条件となる。
コロナワクチン接種の加速を受けて、消費が再開されインフレの兆候が見え、低金利政策の転換が視野に入っていた。竹森氏は「世界的な金利の動きには今後十分の注意が必要である」と結んでいる。しかし、ここに来て、「オミクロン株」が登場し、金利の行方はさらに不透明になってきた。
本書の構成は、第1部が総論で「コロナショックを経て、回復と成長への道筋を模索」というタイトルになっている。第2部が「2022年のキートレンドを読む」。ここでも脱炭素化がメインだ。第3部は、国際社会、産業、企業経営、雇用、社会・文化など10章に分けて、76のキーワードごとに解説している。
キートレンドでは、脱炭素の動きを地方創生の観点から見た、奥野麻衣子氏(持続可能社会部)のレポートに注目した。
コロナ禍以前は、東京一極集中・地方の人口減少を劇的に食い止めることはできなかった。しかし、ウィズコロナの今、以前よりはデジタル化が進み、働き方やライフスタイルの変化が移住やワーケーションの機会をつくるなど、地方にとってはある意味でチャンスと言える状況になっている。
政府の取り組みを以下のように紹介している。2021年6月、内閣府に設置された国・地方脱炭素実現会議は、「地域脱炭素ロードマップ」を取りまとめた。30年までに少なくとも100か所の「脱炭素先行地域」を指定するとともに、全国で自家消費型太陽光、省エネ住宅、電動車などの重点対策を実施する。
内閣府は、今後の地方創生の取り組み推進における新たな重要な視点として、「ヒューマン」「デジタル」「グリーン」を掲げている。