「電波オークション」で携帯電話料金は安くなる? 「賛成」に豹変したドコモVS「大反対」楽天の対決

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NTTドコモの「変身」は政府への「反逆」か?

携帯電話料金は安くなるの?(写真はイメージ)
携帯電話料金は安くなるの?(写真はイメージ)

   ここでカギを握るのがNTTドコモだが、いったいどうして賛成に転じたのだろうか。

   日刊工業新聞のニュースサイト「ニュースイッチ」(11月18日付)「『電波オークション』に前向きのドコモ、方向転換の裏に思惑あり!?」は、こんな見方を示している。

「従来、国内通信各社はオークションに消極的だった。(通信事業に詳しい)MM総研の横田英明常務は、この背景を『オークションになると非常にコストがかかり、事業に使うべき資金を持っていかれてしまう可能性もある。欧州では第4世代通信(4G)ネットワーク整備に遅れが出た』と解説。それだけに今回、『特にドコモが前向きとなると驚きは大きい』。
ドコモの動きに関しては『(携帯電話料金の)値下げと同じ構図ではないか』とみる業界関係者もいる。ドコモは2020年末にNTTの完全子会社となった。上場していた時代は、値下げに伴う業績への懸念について一般株主の理解が得られない事態も想定されたが、完全子会社化で解消した。オークション導入のリスクに関しても同じことが言える」

   菅義偉前政権の携帯電話料金の値下げの動きにNTTドコモが先鞭をつけた構図と似ているが、今回も政府が主導する電波オークション化の動きに、またNTTドコモが同調したのだろうか。

   冒頭に紹介した「ITmedia Mobile」(11月27日付)は、ドコモ変身の理由は携帯電話料金のときとは違って、一種の「反逆」ではないかという見方だ。昨年の総務省の東名阪以外の1.7GHz帯をめぐる「楽天モバイル優遇策」にNTTドコモは猛反発したというのだ。

「(この審査結果は)楽天モバイルに著しく有利だ。楽天モバイルを優遇することでキャリア間の競争を促進したい総務省の思惑は分かるが、エリア計画で大きくリードしていたドコモにとって納得できない結果だったことは容易に想像がつく。こうした審査が続くのであれば、より透明性の高い電波オークションで決着をつけた方がいい――これが、ドコモの考えといえる。既存の割り当ての仕組みに異議を唱えつつ、楽天モバイルをけん制したという見方もできる」

   いずれにしても、総務省は来年夏をめどに電波オークションをどういう形で導入するか、方針をまとめる。その時、携帯電話料金は安くなるのかどうか。

   前出の石川温氏は、日本経済新聞電子版(11月17日付)の「ひとこと解説欄」で、こうコメントしている。

「日本での電波オークション導入の機運が高まっている。そんななか、NTTドコモが導入に前向きな姿勢を示したが、NTTグループは資本力が圧倒的にあるため、オークションには有利な立場であることは間違いない。問題は、新規参入したものの、全国のエリア展開で苦戦し、設備投資などで赤字を垂れ流している楽天モバイルも、電波を新たに割り当てられる余地を残しておく点に尽きる。資本力においては顧客基盤を抱えるNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが有利であり、オークション導入で、結局、最後は既存3社しか生き残らず、寡占状態に戻ってしまった、なんてことになっては意味がない」

(福田和郎)

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