11月は総務省の「テレワーク月間」。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、一気にテレワークが浸透したが、新規感染者の減少とともに再び職場に通勤する人が増えてきた。しかし、テレワークの大きな流れは止まらないと見られる。今月は、テレワークや電話、コミュニケーションに関連する本を紹介しよう。ラストは、この1冊。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、セミナーが開講できなくなったスクール事業者、研修がすべて延期か中止になった講師など、コロナで仕事を失った人がたくさんいる。このような状況下で、オンラインへのシフトが急速に始まった。本書「オンラインセミナーのうまいやりかた」(クロスメディア・パブリッシング発行、インプレス発売)は、これからオンラインセミナーを活用したい人に向けた実践的な本である。
「オンラインセミナーのうまいやりかた」(高橋龍征著)クロスメディア・パブリッシング発行、インプレス発売
オフラインからオンラインへの5つのステップ
著者の高橋龍征さんは、WASEDA NEOプロデューサー、conecuri合同会社代表社員、情報経営イノベーション専門職大学特任講師。ソニーやサムスン電子での事業開発マネジャーなどを経て独立。年間200件もの社会人向けセミナーを企画している。
コロナの緊急事態宣言を境にセミナーのオンライン化が進み、イベント管理ツール「Peatix」上のイベントは、常時4000件のオンラインイベントが公開され、うち80%がオンラインだそうだ。
高橋さんも昨年2月下旬、オンラインに一気に舵を切る決断をした。まったく知見がなかったので、ノウハウ共有コミュニティを立ち上げつつ試行を重ね、セミナーやワークショップをすべてオンラインに移行。それだけでなく、対面営業ができなくなった企業から、営業・マーケティングのためのセミナーの企画を支援する、新しい仕事の引き合いも増えたという。
多くの人がビデオ会議に慣れ、これまで成立が難しかったオンラインセミナーが当たり前になった。本書では、オンラインセミナーを成功に導く基本的な考え方とノウハウを伝授している。
オフライン(対面)で行っていたセミナーをオンラインに対応させるためには、5つのステップが必要だという。
(1)30~45分ごとに質疑応答の時間を入れたり、チャットで随時コメントや質問ができるようにしたり、セミナー自体の構成を変える。
(2)参加者が自らチャットを送りたくなるような働きかけを意識的にするなど、ファシリテーションを見直す。
(3)指示は口頭で行うのではなく、資料に記載し、流れの中で複数回表示するなど、資料を再構成する。
(4)最も多くの人が使い慣れているZoomの基本機能でできる範囲にとどめるなど、ツールと設備を選定する。
(5)オフライン以上に事前の準備が重要になるので、予行演習をする。
オペレーションも重要だ。「入れない問題」を未然に対処する。リンクがいつ送られてくるか分からないと不安になる人がいるので、「Zoomのリンクは開催当日の午前中を目処にお送り致します」といった記載を入れる。また、海上に入れない時の連絡先を明示する。
受付と出欠管理も大切だが、3000円以下の安価なものなら、管理の手間やコストを考えると、ノーチェックにした方が合理的だとも。