大企業が賃上げしても、しわ寄せは下請けにいくだけ
第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏も、ヤフーニュースのヤフコメ欄で、岸田政権が要求している「3%の賃上げ」の実現は難しいと、こう述べている。
「岸田首相は、コロナ前の業績水準を上回った企業に『3%を超える賃上げを期待する』と表明しています。これが何を基準に3%なのか不明ですが、少なくとも春闘賃上げ率だとすれば、かなり高いハードルと言えるでしょう。というのも、厚生労働省の『民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況について』によれば、主要企業の春闘新上げ率はアベノミクスの時ですら、ピークは2015年度の2.38%で、直近2021年度では1.86%です。
また、コロナ前の業績水準を上回った企業ばかりではないでしょうから、春闘賃上げ率ベースでは少なくとも2%台に復帰すれば御の字といえる状況でしょう」
また、ヤフコメ欄では、結局、経団連加盟の大企業ばかりが賃上げに成功しても、しわ寄せが下請けの中小企業にいくという批判の声が多かった。
「親会社に頼っている所はますます厳しくなるでしょうね。大企業賃上げといっても利益を削ってまで賃上げするわけじゃないし、そのしわ寄せは協力会社です」
「1次2次くらい(の下請け)までなら賃上げの恩恵はあるかもしれないが、それから先はほぼ恩恵なしだね。逆にそのためのコストカットを強いられる可能性がある」
「大企業が賃上げした結果、下請け業者への価格引き下げ要求が強まりそうだ。結局、労働者賃金水準はまったく変わらず低いままになりそう」
「このコロナ禍、賃上げしたら中小企業は打撃を受けます。賃上げするより社会保険制度のムダを見直したらどうか。保険料が下がって手取りが増えるのではと思います。政府も企業にもう少し寄り添ってもらいたい。このままでは、日本の経済はお先真っ暗ですよ」
一方、政府の要求に簡単に屈する経団連にも批判の意見が多かった。
「経団連に属する大企業って何なの? 政府の要望があれば携帯電話料金は目に見えて安くなったし、『賃上げして』と言われたら上げるらしい。できることなら言われる前にしてください! 言われなければやらないのは経営陣の怠慢でしょう!」
「簡単に政府に屈しましたー。もう政府が(労働組合の)連合やれよ。経団連企業でもコロナ禍でかなりダメージを負った企業があるけど、泣きっ面に蜂。会長が安請け合いしてしまいましたね」
(福田和郎)