「3%の賃上げ」できるの? 岸田政権の官製春闘に屈した経団連に期待してもダメ! エコノミストが分析(1)

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経団連と真逆、「官製春闘」に批判的な経済同友会

「官製春闘」を批判した経済同友会の櫻田謙悟代表幹事(公式サイトより)
「官製春闘」を批判した経済同友会の櫻田謙悟代表幹事(公式サイトより)

   こうした政府による露骨な春闘介入を批判したのが、経済同友会の桜田謙悟代表幹事だ。11月16日の定例会見で「官製春闘」について見解を問われて、直接、経団連の動きに触れることはなかったが、

「いつまでやるのかと正直感じる。『官製』によって『新しい資本主義』が出てくるものではない」

と語ったのだった。経済同友会の公式サイトを見ると、具体的にはこう発言している。

記者「政府からの賃上げ要請についてどう考えるか」
櫻田代表幹事「本来はおかしな話だ。(企業が)内部留保を取り崩してくれず、政府としては地団駄を踏んでいるのだろう。内部留保は過去の利益の積み上げであるが、余ったお金ではなく貸借対照表上は資産として計上されているものだ。(使うには)それを取り崩すだけの価値ある投資なのか、経営者は説明責任を負う。それを無視して、人件費に充てることは難しい話だ。
岸田政権が看護師、介護士、保育士などエッセンシャルワーカーの処遇を上げようとしていることはありがたいが、我々はそれがなくとも処遇を引き上げた。(賃上げが)投資の一部であれば、どのような思いを持って賃金を上げたのか、経営者が株主などのステークホルダーに責任を持って説明できればよい。
政府に言われたから(賃金を)上げたということではいけない。それが日本の『新しい資本主義』とはさすがにいかないだろう。(政府の)気持ちはわかるが『分かりました』と言うわけにはいかない。むしろ我々は、そうした要請を頭に置きつつも、戦略の中で先行投資的な支出を考えるべきだ」
記者「政府から一律にベースアップを求められることを『官製春闘』と呼ぶが、この言葉についてどう思うか」
櫻田代表幹事「正直なところ、いつまでやるのだろうかと思う。一方で、春闘がなくなると、ただでさえ上がらなかった給与が上がらなくなるのではないかという不安もあると思う。(コロナ禍でも)史上最高益を出している企業もあるため、そうした企業では、その成果の配分を重要なステークホルダーである社員に支払う余地があると感じている。我々もそうした状況になればそうしたい。それがステークホルダー・キャピタリズムである。官製により『新しい資本主義』が現れるとは思わない」

   同じ財界首脳でも、春闘対策の原案の中で「『新しい資本主義』の起動にふさわしい賃上げが望まれる」として、岸田政権に寄り添う姿勢を打ち出した経団連の十倉雅和会長とは大きな違いだ。

(福田和郎)

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