大谷流「ロジックツリー」でいい流れをつくる
この表で注目すべきは、最初の8つの項目について、直接野球に関わるものは半分の4項目に過ぎないという点です。残りの4項目は、「体づくり」「メンタル」「人間性」「運」のであり、野球人であるか否かに関わらずにその前提として「心身を鍛えること」を主眼とした目標が置かれているのです。
なかでも、驚くのは「運」の項目で、その中身の8つの目標項目は「あいさつ」「ゴミ拾い」「審判さんへの態度」「本を読む」「応援される人間になる」「プラス思考」「道具を大切に使う」と書かれているのです。
まさしくメジャーリーグでの多くに人々に愛される彼の態度は、高校時代からの心掛けの賜物だったことがわかります。
それ以外にも、「人間性」の目標項目にある「礼儀」や「感謝」「思いやり」「愛される人間」「信頼される人間」、「メンタル」の項目における「仲間を思いやる気持ち」「一喜一憂しない」「雰囲気に流されない」などは、高校時代からしっかりと目標に置いて心掛けてきたがゆえに今の彼の完璧な一挙手一投足につながっているのだと、改めて感心させられるばかりです。
もちろん、高校時代の恩師や日本ハム時代の栗山英樹監督やコーチの指導とバックアップあってのこととは思いますが、論理性、計画性に富んだ自己改革意識とたゆまぬ努力があって初めて今の栄光があるわけで、それを突き通した何外れた精神力こそが、二刀流成功の正体なのだと思わされた次第です。
さて、この目標達成表ですが一般的にロジックツリーと言われるフレームワークの一種であり、大谷君の例を参考にして企業経営にもぜひ活かしたいツールでもあります。
その際に大切なことは、大谷君と同じように半分は、たとえば「開発」「製造」「営業」「アフターサービス」などの業務直結の目標を掲げつつ、残り半分は企業としての姿勢や社会との関係を意識するような項目でつくりたいところです。「SDGs」や「地域貢献」などは、ぜひとも入れて社内で共有を図れたら、企業としていい流れがつくれるのではないかと思うところです。
新年に向けて、この先の約1か月の時間をかけながら、大谷君に負けないような、顧客、地域社会、そして従業員から愛される企業を目指すための目標達成に向けたロジックツリーを考えてみてはいかがでしょうか。
(大関暁夫)