大谷翔平選手に学ぶ「目標管理」 SDGs、地域貢献...... 企業を鍛える「業務に直結しない」目標に注目!(大関暁夫)

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   今回も野球がらみの話で、恐縮です。米メジャーリーグ、ロスアンゼルス・エンゼルスで活躍する大谷翔平選手が、2021シーズンのMVP(最優秀選手賞)を見事受賞しました。

   しかも満票という、完璧な評価を得ての受賞。日本国内でも大きく取り上げられ、年末に向け大谷フィーバーが盛り上がっています。

  • 大谷翔平選手がメジャーリーグの最優秀選手に!(2017年撮影)
    大谷翔平選手がメジャーリーグの最優秀選手に!(2017年撮影)
  • 大谷翔平選手がメジャーリーグの最優秀選手に!(2017年撮影)

「大谷翔平」をつくり上げた原点がこれだ!

   メジャーリーグの最優秀選手は、通常は優勝チームか、少なくとも地区優勝チームで中心的な活躍をした選手、あるいは3冠王などの飛びぬけた記録を残した選手が選ばれるのが通常で、日本人では2001年にメジャーリーグ記録の116勝を挙げて地区優勝したシアトル・マリナーズ時代のイチロー選手が受賞しています。

   マリナーズは、プレーオフで敗れたために全米制覇はなりませんでしたが、イチローは3割5分5厘の打率で首位打者を獲得して記録的勝利数での地区優勝をリードしたとの評価でMVPを受賞しています。ただ、この時の得票数は全28票中11票。今年の大谷選手の評価が、いかにすごいかがわかります。

   今さら言わずもがなではありますが、今年(2021年)の大谷選手は投手と打者の「二刀流」として大活躍のシーズンでした。打者としてはホームラン46本、100打点、投手としては9勝、156奪三振。文字どおり、スラッガーとエースの一人二役を見事に演じました。野球発祥の地でいろいろうるさいアメリカのファンたちも、「野球の神様ベイブルースの再来」として熱狂的人気となり大谷フィーバーが全米を席巻したシーズンだったのです。

   大谷選手がここまでアメリカ人の全面的な支持を得ている理由は、野球選手としての技量の素晴らしさだけではなく、その人柄をはじめ「大谷翔平」という人物に対する評価の高さによるものであるといわれています。

   テレビの報道でも、大谷選手が試合中にグラウンドに落ちているゴミを拾う姿や、打者の手を離れて飛んだバットを相手選手に手渡す姿や、一人でも多くのファン(特に子供ファン)にサインで応えようとしている姿が報じられ、その紳士然として心優しい所作に多くのアメリカ人が心を打たれているのだと報じられています。

大谷翔平選手は高校1年生のときに目標達成表を作った
大谷翔平選手は高校1年生のときに目標達成表を作った

   大谷選手がなぜ、単に素晴らしい野球選手にとどまらない人間的な面でも万人から愛される人物になり得ているのかということは、彼が日本ハムファイターズ時代の2016年、チームが日本一になってMVPを受賞した際の報道で取り上げられていた、高校時代の心がけにその出発点があるように思います。 見たことがある人もいるかと思いますが、その時紹介されていたのが別掲の、彼が高校1年生のときに作ったという目標達成表です。野球人としてだけでなく、我々が同じ日本人として誇らしく思う人物、大谷翔平をつくり上げたすべての原点は、このにあると思います。

   中央に当時の彼の高校3年間の最大目標として、「ドラ1、8球団」と書かれています。すなわち、「高校3年生の秋のプロ野球ドラフト会議で、8球団以上からドラフト1位指名される」という目標を立てて、達成に向けてその周りの8つの事柄について、さらにそれぞれ8つの目標をもって取り組むことを意味しています。

   実際には、高校3年時のドラフト会議では彼が事前に、「高卒後直接メジャーリーグを目指したいので、ドラフト指名を遠慮して欲しい」というコメントを出したことで、メジャーリーグ入りを後押しするという日本ハム球団以外は指名しませんでしたが、恐らく彼の事前コメントがなければ確実に8球団以上のチームが彼を指名し、史上最高の指名競合になったであろうといわれています。

   結果的にプロ入り5年でメジャーリーグにわたり、さらに4年でMVPを受賞するほどの選手になったわけで、彼の目標はこの目標管理により、ことごとく達成されたといえるでしょう。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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