「今こそチャンス!冷静に下値を拾っては...」
野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏も「あわてる必要はない」という立場だ。「世界的な株価急落と今後の見通し」(11月29日付)で、米ニューヨーク証券取引所のS&P500種株価指数(代表的な500銘柄の株価指数)と世界の新型コロナウイルスの感染者数を比較したグラフを紹介し、感染者数に関係なく一貫して株価が上昇し続けていることを示した。
石黒英之氏はこう述べている。
「11月26日に世界的に株安の動きとなりました。新たな変異株が見つかったことをきっかけに、世界景気が減速するとの見方から、リスク回避姿勢が強まった形です。ただ、新型コロナの懸念からリスクオフの動きが強まる場面はこれまで何度かありましたが、影響は短期的なものに留まってきました。昨年から今年にかけて世界のコロナ新規感染者数が大幅に増加した局面をみても、S&P500種株価指数は上昇トレンドを維持してきました=上図参照。新たな変異株について、 過度に悲観視せず冷静に対応することも重要です」
そして、こうアドバイスするのだった。
「不安心理が高まった場面は冷静に。11月26日現在、米実質金利はマイナス1.1%となっており、リスク資産に資金が向かいやすい地合いであることに変わりはありません。待機資金とみられている米MMF(マネー・マーケット・ファンド)残高は直近で約4.6兆米ドルと高水準に積み上がっています。今回の新たな変異株出現を受けて『恐怖指数』の異名をとる米VIXは11月26日に28.62まで上昇しました。
VIXの水準別の1年後株価上昇確率をみると、25以上で投資した場合、1年後に株価が上昇している確率は2009年以降で100%となっています。不安心理が高まった場面は複数回に分け、冷静に下値を拾うのも一手と考えられます」