「政府の対応がよければ株価上昇も期待できる」
ソニーフィナンシャルグループのシニアエコノミスト渡辺浩志氏も、ヤフーニュースのヤフコメ欄で、オミクロン株が想像以上に感染拡大しなければという条件付きだが、「オミクロン・ショック」が追い風になるかもしれないと指摘する。
「FRBはインフレ長期化への警戒から、量的緩和の縮小加速や利上げ前倒しを検討中。米債券市場では金融政策の影響を受けやすい短期金利が上昇し、金融環境は幾分タイト化しています。もっとも、米金利は依然として低く金融緩和的であるため、米景気の回復と業績主導の株高が続く見込みです。
オミクロン株の感染拡大で世界景気が停滞すれば業績相場の株高は上値が重くなりますが、原油高やインフレ、早期の金融正常化リスクが後退すれば、金融相場的な株高が再び勢い付く可能性があります。
セクター選別は再びシビアになるでしょう。低金利やDXをテーマにハイテク株に資金が流入しやすい半面、行動制限が再び強まれば旅行・外食・レジャー・空運等のサービス産業にはネガティブ。閉じかけていたK字型の二極化相場が再拡大する可能性もあります」
一方、オミクロン株が日本で感染拡大をしても、政府が適切に対応すれば株価には影響を与えないだろう、とみるのは三井住友DSアセットマネジメントの チーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏だ。「新たなコロナ変異株が検出~日本株への影響を考える」(11月26日付)で、「空運業、非鉄金属、鉄鋼などが大きく下落するかもしれないが、昨年の実例で確認されたとおり、政策の対応次第では株価上昇も想定される」として、昨年のコロナの感染者数と日経平均株価の動きを比較した図表を紹介している。
これを見ると、2020年暮れから今年正月にかけて感染が急拡大した時期も含めて、株価は一貫して上昇し続けていることがわかる。市川雅浩氏は、こう述べている。
「昨年の実例から、コロナの感染が拡大しても、緩和的な金融政策、積極的な財政政策、感染抑制対策が打ち出されていれば、株価は上昇することが確認されています。これは、政策対応によって足元で感染が拡大しても、先行きの景気や企業業績は回復するという期待が市場に形成されるためです。そのため、仮に今回、新たな変異株による感染が拡大した場合でも、政策対応次第で株価は上昇することも考えられます」