ガソリン価格の高騰を抑える補助金も設けるが......
産油国を怒らせる危険を指摘する声もある。OPECプラスから、表立った反応はでていないが、コロナの感染再拡大も懸念されることから、22年1~3月期には供給過剰になるというのが産油国側の見立てだという。 産油国にすれば、ただでさえ、地球温暖化対策で需要の先細りを心配されるだけに、米ブルームバーグ通信は、備蓄放出に対抗し、12月2日のOPECプラスの次回閣僚級会合で、減産縮小を見直す可能性があると報じている。そんな見方のためもあり、バイデン米大統領が放出を発表した11月23日のニューヨーク市場では、WTI先物の終値は前日比1.75ドル高の1バレル=78.50ドルだった。
岸田政権の異例の対応に、大手紙の評価は概して辛めだ。
石油の価格抑制への努力は必要としつつ、「協調放出が原油相場を押し下げるかどうか、効果のほどははっきりしない」(読売新聞11月25日社説)など、与党支持のメディアも効果には懐疑的で、「消費国と産油国が協力し、移行期を乗り切る戦略を描くことが求められる」(毎日新聞25日社説)、「産油国と消費国が連携し、相場の安定へ協力関係を構築したい」(産経新聞25日「主張」)など、ほぼ一致して産油国との対話と協調を訴えている。
岸田政権は、備蓄放出のほか、ガソリン価格の高騰を抑える補助金を設けることも決めている。異例の対応をとるだけに、なぜそうした政策が必要か、法の趣旨に照らして妥当か、本当に効果があるのかなど、説明責任が求められる。(ジャーナリスト 白井俊郎)