アメリカIT企業のリモートワークの秘訣【テレワークに役立つ一冊】

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さすが、アメリカ! 人材採用はカバーレターを重視

   さすがアメリカだと思ったのは、人材採用の章だ。共同経営者の2人は、デンマーク・コペンハーゲンとシカゴと国境を超えたところで会社をスタートさせ、世界各国から人材を採用してきた。採用にあたっては、まずリアルな仕事をやらせて、それから人柄を見るという。また、履歴書や職務経歴書よりも、カバーレター(添え状)を重視するという。文章力が、ひと目でわかるからだ。

   短期間の業務委託契約で働いてもらい、採用するかどうか見極めるという。働く側にとっても、リモートワークがうまくいく会社なら、概して働きやすい会社だと考えていい、と勧めている。

   彼らの会社はシカゴに本社があるが、サポート担当者が交代で詰めるほか、あまり会社に人はいない。だが、1年に2回、約5日間は全員で顔を合わせるようにしているそうだ。取り組んでいるプロジェクトを紹介し、会社の方向性について話し合う。その数日のあいだ、社員の生産性はとんでもなく高まるという。また、直接ふれあった相手とは、その後リモートでもコミュニケーションをとりやすくなるメリットもある。

   本書を読んで感じたのは、アメリカにおけるリモートワークの先見性と根底にある哲学だ。コロナ禍の付け焼き刃で始まった日本とは大違いだ。何よりリモートワークは「社員の生活の質を向上させる」という経営者の信念に感動した。(渡辺淳悦)

   「強いチームはオフィスを捨てる」
ジェイソン・フリード、デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン著 高橋璃子訳 早川書房
1650円(税込)

 
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