「ゆくゆくは月や火星での散骨を実現したい」
――「MAGOKORO Xプロジェクト」とは?
葛西さん「当初はご遺骨だけの打ち上げを想定していましたが、あるお子さまから『私の思いも一緒に打ち上げて欲しいな』と言われて。せっかく大きな人工衛星なので、ご遺骨だけではもったいないと思い、メッセージカードや自分のDNA(毛髪)を一緒に宇宙へ打ち上げるプロジェクトも同時に行うことにしました」
――どんな方がメッセージカードを寄せているのでしょうか。
葛西さん「日本国内だけでなく、アメリカや台湾の子どもたちや、NASAやJAXAの方、国や世代を問わずさまざまな方にカードを書いてもらいました。宇宙好きな方へのプレゼントとして活用してくださった方もいますね。現時点(2021年11月)で1500枚以上のカードが集まっています。
宇宙と関わりを持ちたいと思いながらも『そんなの夢のまた夢』と思っている方は多くいます。でもメッセージカードであればリーズナブルですし、気軽にトライしていただけるのかなと思います」
――宇宙散骨は、どのような目的で申し込む方が多いのでしょうか。
葛西さん「みなさま、それぞれいろんな思いを持っています。たとえば今回、お子さまを病気で亡くされたお父さまからの申し込みがありました。お子さまは生前『天の川に行きたい』と話していたそうで、少しでもその近くに連れていってあげたいと。お子さまのご遺骨と家族みなさまの毛髪を一緒に入れて、『家族で宇宙旅行をしたい』とご遺骨を託してくださいました。依頼者の方、それぞれのご経験や思いに触れ、一人ひとりの思いを大切にしなければという責任を感じています」
――これから手がけていきたいことや今後の展望について教えてください。
葛西さん「2022年4月の打ち上げ後、2023年秋に第2号、その後に第3号の打ち上げを予定しています。民間人が宇宙に行ける時代はすぐそこまで来ています。この先、宇宙は今よりもっと身近な存在になっていくはず。ゆくゆくは宇宙空間だけでなく、月や火星での散骨も実現したいですね。
散骨以外に、宇宙での生前葬も考えています。すでにお申し込みもいただいていて、当社では2025年に宇宙生前葬第1号のロケットを打ち上げる予定です」
(聞き手 鼈宮谷 千尋/べっくや ちひろ)