支持率アップになりふり構わぬバイデン大統領
野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏は、パウエル氏はもちろん、ハト派で知られていたブレイナード氏まで「タカ派」に変身したことに注目。FRBの政治姿勢が変化し、金融の締め付けが加速するとみる。「バイデン大統領の支持率低迷とFRB(1)」(11月24日付)で、パウエル氏とブレイナード氏の記者会見の模様を、こう読み解く。
「11月22日にバイデン大統領は、パウエル議長の再任とブレイナード理事の副議長への昇格方針を発表しました。パウエル氏は会見で『インフレ高進が定着しないようツールを活用する』と述べ、ブレイナード氏も『インフレ率を押し下げる』と発言するなど、両氏が金融引き締めに前向きなタカ派的姿勢をみせたことはFRBの政策姿勢が変化する可能性を示したとみられます。
金融政策の風向きが変わりつつある兆候が出始めたことは米国株にとって懸念材料です。両氏がインフレへの対処に前向きな姿勢を示した背景には、インフレ長期化によりバイデン大統領の支持率が低下していることが考えられます」
バイデン大統領はインフレを抑制し、支持率アップを図るために、米国の石油備蓄の放出を発表。日本、中国、英国などとの協調を呼びかけたのだ。石黒英之氏は、最後にこう指摘する。
「2022年の中間選挙に向けてFRBにも金融政策の正常化を暗に求める可能性があるかもしれません。現時点で米国株式相場への影響は限定的ですが、今後のバイデン大統領とFRBの関係を注意深く見守る必要がありそうです」
バイデン大統領の中間選挙対策が、FRBの金融政策、さらには日本経済にも影響を与えつつある。いずれにしろ、今回のFRBの人事発表によって、円安ドル高が加速した。日本経済はどうなるのだろうか。