原油価格が高騰するなか、アメリカ政府は備蓄していた石油の一部を市場に放出すると発表しました。供給量を増やして原油価格の上昇を抑える戦略ですが、これに日本、中国、インド、韓国、イギリスの5か国が相次いで連携を表明。災害時ではなく、「価格対策」のために主要国が国家備蓄を放出するのは極めて異例なことだそうです。
果たして、「Biden's Unusual Oil Release」(バイデン米大統領の異例な石油放出)は、事態の鎮静化につながるのでしょうか? 今回も、最新のニュース英語をたっぷりとお届けします。
バイデン米大統領の歴史に残る「タンクの栓抜き」?
アメリカのホワイトハウスが声明を発表し、記録的な高値が続いている石油の価格上昇を抑えるために、国家備蓄の一部を市場に放出することを明らかにしました。主要な石油の消費国である、日本、インド、韓国、イギリス、それに中国がこれに賛同。一体となって石油価格の抑制に取り組むことを表明しています。
President Biden announced the U.S. will tap oil reserves in hopes of reducing energy prices
(バイデン大統領は、米国は燃料価格の下落を期待して備蓄石油を放出すると発表した)
tap:樽などの栓を抜く、蛇口
oil reserves:備蓄石油
in hopes of~:~を期待して
今回、多くのメディアの見出しを飾っていたのが「tap」という単語です。
「tap」は、「蛇口」「水道」という意味ですが、「tap water」(水道水)を知っている方は多いのではないでしょうか。外国では、レストランでお水を注文するときに、わざわざ「tap waterをください」と伝えないと、有料のミネラルウォーターがサーブされます。
この「tap」を動詞で使うと、「樽などの栓を抜く」という意味ですので、「tap oil reserves」は、「備蓄石油のタンクの栓を抜く」と、イメージそのものの表現です。
メディアによっては、「release oil reserves」(石油備蓄を放出する)と、「release」(放出する)という単語を使っていましたが、「tap」のほうが、がぜん臨場感があります。バイデン大統領が巨大なタンクの栓を抜いている姿が目に浮かぶので、私は「tap」に一票を投じたいと思います!
石油関連の単語は、ビジネスの場面でもよく目にします。なかでも、「crude oil」(原油)はニュースでも重要単語です。石油の単位は「バレル」(樽)で表しますから、50 barrels of crude oil(原油50バレル)のように、「~barrels of」を使った表現とセットで覚えておきましょう。