衝撃!「エネルギー危機が来る」週刊東洋経済が特集 エコノミストは「米株高」、ダイヤモンド「犬&猫の大問題」

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   「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスパースンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

   「週刊東洋経済」(2021年11月27日号)の特集は、「エネルギー危機が来る」。ショッキングなタイトルだが、すぐそこに迫っている印象がなきにしもあらず。原油価格の高騰を受け、米国などに協調して、日本政府は石油の国家備蓄を放出する方針を11月24日表明。この秋から深刻化している世界的なエネルギー需給のひっ迫状況を、市場関係者は多重的な災厄の襲来にたとえ「パーフェクトストーム」と呼ぶ。

   資源を持たざる国・日本に走った激震をレポートしている。

  • この冬の電力は大丈夫か!?(週刊東洋経済が「エネルギー危機」を特集)
    この冬の電力は大丈夫か!?(週刊東洋経済が「エネルギー危機」を特集)
  • この冬の電力は大丈夫か!?(週刊東洋経済が「エネルギー危機」を特集)

LNG価格が世界的に上昇

「週刊東洋経済」2021年11月27日号
「週刊東洋経済」2021年11月27日号

   今回のエネルギー危機の原因について、世界のエネルギー情勢に詳しい元住友商事執行役員の高井裕之氏がわかりやすく解説している。ポイントは石油ではなく、電力に直結した天然ガス価格の急騰にあるというのだ。欧州の天然ガス価格は9~10月に一時、年初から5倍超と過去に例のない水準に上昇した。

   発端は欧州の風況が悪かったことだ。とくにアイルランドの洋上風力発電が安定せず、そこから送られる英国の電力が不足した。代替電源として火力発電を使おうにも、欧州の天然ガスの43%を依存するロシアからの供給制約を受けている上、最後の手段であるLNG(液化天然ガス)のスポット調達も中国やブラジルの需要拡大と重なってしまったという。

   英国をはじめ欧州は風力や太陽光発電を推進してきたが、それがあだになってしまった格好だ。すでに欧州の天然ガスの在庫はかなりの危険水域に入っており、この冬に寒波が襲来すれば、またエネルギー危機が来る可能性が高いと見ている。脱炭素がもたらすエネルギー移行が、こうした状況の一因になっているようだ。

   さて、この冬の日本の電力需給は大丈夫なのか? 供給予備率が8%あれば安定だとされているが、東京エリアはマイナスになるという試算が経産省の審議会で示され、ショックを与えた。

   JERA(東京電力フュエル&パワーと中部電力の共同出資)が建て替え予定で運転を停止していた姉崎火力発電所5号機(千葉県)を急きょ運転することで、何とか3%の予備率を確保できる見通しが立った。

   世界的な天然ガスの争奪戦もあり、LNGのスポット価格はアジアでも急騰、想定外の厳冬になった場合にLNGを確保できるのか、政府関係者は神経質になっているという。

   再生エネルギーの大本命とされる洋上風力発電が、秋田県の秋田港と能代港の港湾区域で22年内にも始まる。計33基の風車による発電容量は一般家庭13万世帯の消費電力量に相当する約14万キロワットだ。国は40年までに3000万~4500万キロワットという洋上発電の目標を明らかにしており、実現すれば日本で消費される電力量の約1割に相当する。風車などの部品のほとんどは海外から調達したもので、国内調達比率60%を目指している。「洋上風力を物にできるかどうかは、国のエネルギー計画だけではなく、製造業立国・日本の将来をも左右する」と記事は結んでいる。

   電気つながりという訳ではないだろうが、第2特集は「電池世界争奪戦」。米フォード・モーターに続き、トヨタ自動車も米国に電池工場をつくると、この秋表明した。自動車メーカーの電池投資の最前線を追っている。記事で注目したのは、トヨタが「現時点では、「夢の電池」と期待されていた全固体電池をハイブリッド車(HV)に活用することが性能的にはいちばん近道だ」と発表、EV(電気自動車)の搭載にはかなり課題があると慎重なことだ。

   リチウムイオン電池を発明し、ノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェローの吉野彰氏は「日本の電池は崖っぷちだが、焦らず25年以降を見据えよ」と警鐘を鳴らしている。

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