ええっ!「職場がゆるい」「上司の存在感ゼロ」イマドキ新入社員が大手企業にガッカリしてるってホント?(2)

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「学生時代から社会経験の豊かな新人が増えている」

――「モーレツ社員」がもてはやされた昭和に新入社員だった私の経験からもあり得ない話です。毎日、ヘトヘトに疲れ果てていましたから。なぜ、日本経済をけん引する大企業が「ゆるく」なってしまったのですか?

古屋さん「働き方改革関連法やハラスメント防止対策法などが次々と施行され、コンプライアンスが厳しくなったことが第一の理由です。特に大企業はマーケットのチェックが入りますから、厳密に守らなくてはなりません。
近年よく話にあがる『心理的な安全性を高める職場のコミュニケーション』も、職場において重要なキーワードです。ざっくり言うと、その組織や職場で、自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。部下に対して、理由が不明確な叱責や理不尽な発言などNGなのです。もちろんこれは良い動きですが、この点に丁寧な企業が増えている、気を付けている上司の方が多くなっていることが背景にあると思います。リモートワークの増加によるコミュニケーションスタイルの変化も影響しているでしょう。
最後に、もう一つは若い人たち自身が変わったことがあげられます。学生時代から社会と関わっている人が増えました。ロングインターンシップで、スタートアップ企業で働いたり、自ら起業したり、NPO法人を作ったりする人が増えました。理系の学生では『ハッカソン』、文系の学生でも『アイデアソン』に参加して、スキルを磨いている人も多くなっています」

――「ハッカソン」とか「アイデアソン」とは何でしょうか。

古屋さん「ハッカソンは、ハック(hack)とマラソン(marathon)を組み合わせた造語で、技術系の学生が短期間に集中的に開発作業を行うコンテスト。アイデアソンもアイデアとマラソンを組み合わせた造語で、 決められた時間でどれだけ新しいサービスや、創造的なビジネスのアイデアを出すか競い合ったりするコンテストです。
学生時代から新しいビジネスモデルをつくる経験をしている学生が増えているのです。それだけに入社した会社でもっと成長したいという期待値が高いですから、失望も大きいはずです」
「僕、もっと鍛えてもらっても大丈夫です!」(写真はイメージ)
「僕、もっと鍛えてもらっても大丈夫です!」(写真はイメージ)

――なるほど。スタートアップ企業で鍛えられた学生からみると、大企業の手厚く、コンプライアンス遵守を前提にした研修は「物足りなさ」を感じてしまいそうです。ところで、「ゆるい職場」は今後も増え続けるのでしょうか。

古屋さん「はい。もう元には戻れません。かつてのような『獅子の子を千尋(せんじん)の谷に突き落とす』方法の新入社員の育成は法律的に完全にアウトです。労務コンプライアンスに厳しい視線を送っているマーケットからもソッポを向かれます。これまでのような育成メソッドは通用しないわけです。また、会社が1から100まで新人の面倒を見るという、『新入社員は会社が育てるものだ』あるいは『会社が育ててくれる』という、会社主体の若手育成観から転換する必要があるのではないでしょうか」
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