COP26の実効性は? 温室効果ガスの急激な削減策に先進国は資金支援で途上国を「説得」

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   地球温暖化への危機感が高まるなか、世界の注目を集めた国連気候変動枠組み条約 第26回締約国会議(COP26)が閉幕した。

   2015年のCOP21で採択されたパリ協定の進捗をチェックする会議で、開催地の名を冠した決定文書「グラスゴー気候合意」を採択したが、その成果をどのように評価したらいいのだろうか――。

メイン画像 キャプション COP26は「グラスゴー気候合意」を採択して閉幕した(写真はイメージ)
  • COP26は「グラスゴー気候合意」を採択して閉幕した(写真はイメージ)
    COP26は「グラスゴー気候合意」を採択して閉幕した(写真はイメージ)
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CO2実質ゼロ、中国は2060年、インドは70年......

   地球温暖化に由来するとみられる異常気象が世界で頻発し、熱波、寒波、山火事、ハリケーンや台風の雨や風などによる被害が拡大している。COP26は、全体として、現状への危機意識の高まりを反映し、温暖化防止に向け、各国が協調して取り組む必要が共通認識としてあった。

   一方、先進国と途上国の認識の相違、対立は根深い。二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの、世界最大の排出国である中国をはじめとした途上国は、これまでエネルギーを大量に使い、温室効果ガスを大量に排出して成長した先進国の責任を問い、急激な自国の排出削減に抵抗している。先進国は資金支援で途上国を説得、削減を進めようとする構図だ。

   2021年11月13日、会期を1日延長した末に採択されたグラスゴー合意は、産業革命前からの地球の気温上昇を1.5度(現在すでに1.1度上昇)に抑える努力を追求するとし、そのために石炭火力発電の「段階的削減」に向けた努力を加速させることなどを盛り込んだ。

   まず「1.5度」だが、パリ協定は「2度未満、できれば1.5度に抑える」との目標を掲げており、今回「1.5度」を事実上、世界の共通目標に引き上げたといえる。

   1.5度は、異常気象などを抑えるために専門家が必要とする数字で、グラスゴー合意は、その実現に向け、温室効果ガスの排出を「今世紀半ばには実質ゼロにする」と明記した。2050年にCO2などの実質ゼロを公約した日本を含め、先進国はおおむね足並みをそろえ、COP26に向け140か国以上が今世紀半ばごろの排出実質ゼロを掲げ、多くの国が30年の削減目標を引き上げた。

   一方、中国は2060年に実質ゼロとする方針を譲らず、インドはCOP26の場で、ようやく70年実質ゼロを初めて打ち出すといった具合で、途上国の取り組みの難しさが改めて明確になった。

   実際、現状は不十分だ。パリ協定はあくまで各国が自主的に目標を出す形式で、強制力はない。各国の2030年時点の削減目標をもとにした分析では、2.4度上昇する可能性があるという指摘が専門家から出ている。このため、各国に30年の削減目標や対策の強化を促すべく、これまで5年に1回目標を見直すことになっていたのを、毎年見直すこととした。さっそく、22年のCOP27(エジプト)に向け各国の取り組み強化が求められることになる。

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