女性活躍が進めばお仕事ドラマのヒロイン像も変わる
――テレビのお仕事ドラマを見ても、男性の場合はかなりずぼらでラフな印象を与えながら「じつは仕事ができる」という破天荒なキャラクターが多くいます。ところが、女性の場合は「これ経費で落ちません」(NHK)、「わたし、定時で帰ります」(TBS)など、みなシッカリしていそうに見えるのが基本で、ぶっ飛んだキャラクターはほとんどいません。やはり、男性と女性とでは「仕事ができそう」な外見は違うのではないでしょうか。
川上さん「女性が働くことが珍しかった時代は、必然的に『仕事ができる女性』のイメージのバリエーションが少なかったように思います。ドラマなどでも、かつては職場にいる人の大半は男性で、女性が登場するときは男性課長にお茶出しするシーンなどが多かったという印象です。活躍する女性が描かれる機会そのものが、男性に比べてとても少なかったのです。
今も子どもたちに人気のテレビ番組『戦隊シリーズ』では、初期のゴレンジャーのころから男性隊員のほうが数は多く、モモレンジャーのように紅一点であることも少なくありません。一方、男性隊員は圧倒的に数が多いのでアカレンジャーのようにどこから見てもカッコいい正統派ヒーローもいれば、キレンジャーのようにカレー好きでコミカルなヒーローもいたりします。そのように小さなころから観ているテレビ番組が影響している面もあるのかもしれません。
女性活躍が推進されるにつれ、テレビドラマで活躍する女性が描かれるバリエーションが今よりも増えていけば、『仕事ができる女性』のイメージの幅ももっと広がっていくのではないでしょうか」
――確かに、お仕事ドラマでは「仕事ができる男性」のイメージもどんどん変わっていますね。「おじさんはカワイイものがお好き」(日本テレビ)では、切れ者の部長だけど、じつはぬいぐるみが大好きという秘密を持っているキャラクターが大人気になり、「おじかわブーム」が起こりました。
川上さん「いかにも落ち着いた雰囲気で受け答えもしっかりしている男性部長が、『末っ子なのに長男と思われた』という経験をしていることはありそうです。また、いかにも強面の男性課長が『カフェオレを飲んでいると、ブラックが好きなのかと思っていた』と言われた経験があるかもしれません。イケメン社員が、字が汚くてガッカリされることも珍しくなくなりそうです」