東芝、迷走の果ての「3分割」 それでも残る不満の声 分割後の成長の道筋に説明不十分

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   経営再建問題で混迷を続ける東芝は、ついに事業ごとに3つの企業に分割し、それぞれ独立させる方針を打ち出した。

   家電製品から原子力まで幅広く手掛ける「総合電機メーカー」として、日本の経済界でも高い地位を占めてきた1875年創業の名門企業は、事実上の解体に向かう。

  • 迷走する? 東芝3分割でどうなる!
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躓きは2015年、不正会計問題の発覚だった

   東芝は2121年11月12日、中期経営計画を発表。「インフラサービス社」、「デバイス社」の2社を分離し、残る本体と3分割する方針を示した。

   インフラサービス社は発電設備や交通システム、エレベーターなどを担い、2023年度の売上高は2兆2300億円を見込む。デバイス社はハードディスクドライブ(HDD)などの電子部品を担い、同じく8800億円見込み。

   残る東芝本体は、約4割を出資している半導体大手、キオクシアホールディングス、電子機器の子会社、東芝テックなどの株式を管理する会社になる。キオクシアの株式については、手放して株主に全額還元する。

   それぞれが独立した経営を行うことで、迅速な意思決定を可能にし、競争力や株主価値の向上につなげるとしている。

   分割案は、22年1~3月に開く予定の臨時株主総会で承認を得たうえで準備を進め、23年度後半に、分離する2社の上場完了を目指す。東芝の株主は、新規上場2社の株式を新たに割り当てられ、本体と併せ3社の株式を持つことになる。

   綱川智社長は会見で、

「株主のためにも最善の道だ。より競争力のある企業になることで、従業員は成長の機会を得られる」

   と述べた。

   J-CASTニュース、会社ウォッチは東芝問題を繰り返し取り上げてきた。

参考リンク
「選任賛成率、異例の『57.96%』 物言う株主に悩まされる東芝・車谷社長のかじ取り」(2020年8月25日付)
「東芝経営陣の正念場 『物言う株主』が揺さぶる『不利益な議決権行使』の実態解明のゆくえ」(2021年3月27日付)
「東芝2兆円買収 CVCキャピタルの提案は『混迷』から脱出するチャンスなのか?」(2021年4月13日付)
「社長辞任、CVC買収断念... 混迷の東芝はどこへ行くのか!?」(2021年4月24日付)
「混迷続く東芝、『過保護』の実態が明るみに 経産省が『物言う株主』に圧力」(2021年6月21日付)
「株主が『ノー』前代未聞の異常事態! 東芝経営に『救世主』は現れるのか?」(2021年7月4日付)

   この間の事態を大まかに振り返ると、2015年に不正会計問題が発覚、米国の原発事業で巨額損失を出し、債務超過で東証上場廃止の恐れに直面し、危機から脱するため17年に約6000億円の巨額増資をした結果、旧村上ファンドの流れをくむ「エフィッシモ・キャピタル・マネジメント」(シンガポール)など「物言う株主」といわれる外資が大株主になった。

   増資や、他の事業売却などで財務的な危機は脱したが、物言う株主との関係悪化で企業統治が混乱。特に20年7月の株主総会に経営陣が不当に介入したことが発覚し、大株主と対立した銀行出身の車谷暢昭社長(当時)が21年4月に辞任。株主総会に関する最終的な調査報告書が、今回の経営計画と同時に発表され、車谷氏らについて、違法とまではいえないが企業に反する行為があったと認めた。

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