「取引先とのやりとりは証拠を残しておこう」
この調査に、ヤフーニュースのヤフコメ欄にはフリーランスの人たちから多くの意見が寄せられている。まず、しっかりした契約を結ぼうとしない取引先が多いことには――。
「契約書自体を作らない会社が多い。口約束や暗黙の了解で進めると危険。お金を請求すると、『これってお金発生するのですか?』と平気で言ってくる人もいる。相手に面倒くさがられても必ず契約書は作成しましょう。あとは横のつながりを持つようにしましょう。トラブル防止に有効な情報を共有できたりします」
「フリーランスにとって契約書は生命線。絶対に交わすべき書類だ。そしてフリーの人ほど法律を勉強しなきゃいけない。フリーの人は、会社が自分を守ってくれることはない。盾になり守ってくれるのは契約書という証明書だけ」
トラブルについては、こんなケースも。
「100時間で契約させ、実際は180時間くらい稼働。でも、『100時間契約で、あなたが勝手にやったのだから損害賠償を請求したいくらい』と言われた。勝手になんてやっていないし、現場担当者から『総務には追加発注をしておく』という伝言を受けたからやったのにあんまりだった。翌月もシレッと80時間の契約書を持ってきたので、追加条項を求めると、『使わない』と言われた」
トラブル対策にはこんな注意を払っている人が多い。
「言い掛かりを付けて報酬の支払い拒否、支払い遅延を実際に経験しました。可能な限り証拠を残してください。たとえ面倒でも電話の音声はすべてボイレコで録音し、相手にメールを送るときはBCCで、できるだけ第三者にさらしてください。さらには自分宛に空メール送信して、そのBCCに報酬に関する資料、言質を取った音声をファイルに添付して、できるだけ沢山の人にさらすようにしましょう。幸い私は支払い遅延があっても、取りっぱぐれはなかったです。もし報酬を受け取れない最悪の事態が起きても、戦った事で精神上の衛生を保持できます。絶対あきらめてはいけません」
「フリーランスでサバイブする鍵は、自分の能力の向上に尽きる。『この条件ではおたくとは仕事できません』と言えるレベルになればフリーランスはかなり楽。あとは健康管理です。組織に属すると、時間の7割程度は部下の面倒見や調整業務だからね。フリーランスはそれがないのがありがたい」
「フリーランスはいかに良い取引先と仕事ができるか。これに限るかな。必要以上の値切りや、約束にない業務の追加など、一方的な要求をするところとはお付き合いしない。ただし、嫌な取引先とのお付き合いを断れる勇気があればだけど」
「フリーランスだと仕事がなくなる恐怖でつい悪条件の仕事を受けちゃいがちだけど、自分のなかで『どこまでいくらでやるか』みたいな働き方の線引きをしっかりしないと病む。あと、契約をする前の段階で、コミュニケーションにちょっとでも『おや?』って感じたら、だいたい地雷案件。見かけの条件の良さに騙されちゃ絶対ダメ!」
最後にこんなアドバイスを紹介したい。
「私も経営者兼フリーランスとして活動しています。自分一人の力ではたかがしれているのでフリーランスのネットワークを作りました。一緒に仕事をするだけでなく、こんな会社、こんな仕事の内容だった、という情報共有のネットワークも兼ねています。やはり、〇〇社の案件だけは受けないようにしようとか、いくつも言いたくないような契約や労働内容の情報が入ってきます。
発注する側に言いたいのは、情報というのは良くも悪くもだんだんと広まっていきます。良くない発注者の仕事を受ける人が減っていくということです。また、正社員になれないからフリーをやっているなんて、ひと昔前の話。優秀な人は仕事を選んでいくつも同時にこなしていますよ」
(福田和郎)