メキシコペソでコツコツと利益を積み上げる一橋大学のボンゴレさんは今週(2021年11月8日週)もプラス。隙らしい隙を見せず、独走状態になってきた。明治大学の佐藤諒さんは、英ポンドやカナダドルで迷ったが、ユーロ円を選択。2度の取引でプラス・マイナスゼロに踏みとどまった。
慶応義塾大学の2Gさんはスキャルピングに挑戦したが、結果はマイナス。「損切りのタイミングを何度か見失い、損失を重ねてしまった」と、悔しがる。今週もスキャルピングに励んだ同志社大学のFOXさんも、損切りに腐心。児山将さんのアドバイスで「どこに損切り置かれているのか意識しながらやってみました」という。
損切のタイミングを見失った(慶応義塾大学 2Gさん)
FX大学対抗戦25週目。大学の中間テストなどが近づき、なかなか時間がとれない。今週(11月8日週)はスキャルピングで軽く触っただけだが、結果としてマイナス1万1250円で終わった。損切りのタイミングを何度か見失い、損失を重ねてしまった。前提としてのトレンドをしっかり理解しないまま、感覚に頼ったことが原因という認識はしっかりとあるので、以後気を付けたい。
今回もふだんと同様に、今週の流れと今後の動きを整理したい。
◆ 今週の流れ
11月8日週は、ドル買いが強まった。週前半は前週からのドル売り圧力が残ったが、週央に発表された10月の米消費者物価指数の上振れで一気に流れがドル高方向に転じた。前年比プラス6.2%と予想を上回る高い伸びが示され、市場にはインフレ警戒感が再燃、米金融当局の早期利上げ期待が高まった。低下傾向を示していた米債利回りが一気に上昇している。週前半には112円台まで下落したドル円相場は114円台に乗せている。
ドル指数は年初来高値を更新している。週末にかけては来週の利下げを見込んだトルコリラの売りが加速し、節目と見られたドルリラでの10.0を示現する場面が見られた。
◆ 今後の動き
来年7月頃の利上げ再開が織り込まれる米国と、金融緩和の長期化が織り込まれる日本との金融政策格差や、米主要株価指数の底堅い動き、世界的なインフレ懸念など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が増えつつある。これらのことから、ドル円は続伸という風に考えられる。
来週は米国の経済指標(米11月ニューヨーク連銀製造業景況指数、米10月輸入物価指数、米10月小売売上高、米10月鉱工業生産、米10月住宅着工件数、米11月フィラデルフィア連銀景況指数など)に加えて、複数の米当局者発言(リッチモンド連銀バーキン総裁、アトランタ連銀ボスティック総裁、カンザスシティ連銀ジョージ総裁、サンフランシスコ連銀デイリー総裁、ボウマン米連邦準備制度理事会〈FRB〉理事、クリーブランド連銀メスター総裁、ウォーラーFRB理事、シカゴ連銀エバンス総裁、クラリダFRB副議長など)に注目が集まる。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
米消費者物価に関するコメントが多く目立ちます。ここで気を付けておいてほしいことが、FRB(米連邦準備制度理事会)議長人事に関して。今週末か遅くても来週半ばには発表されるのですが、ハト派色の強いブレイナード理事が就任すれば、利上げ期待が若干交代。ドルの上値を抑えることになりそうです。なお、現在では8割程度がパウエル議長の再任予想となっているそうです。
11月12日現在 120万3480円
ユーロ円を選択、その結果は......(明治大学 佐藤諒さん)
今週(11月8日週)は、先週から水平ライン(下記のチャート図の青い領域)を割っていたユーロ円のショート(売り)を狙っていました。このようなチャートでは、とりあえずショートから入り、水平線を超えてくるよう場合は損切りをすれば損失を限定し、大きな利益を追求することができます。
よって週初めの8日にショートを入れました。英ポンド円やカナダドル円は週初めの段階でわかりやすい抵抗隊が見当たらず、取引銘柄に選びませんでした。ドル円は抵抗ライン付近でしたが、ユーロ円のほうが、サポートライン(下値支持線)が転じてレジスタンス(上値抵抗線)となっている様子が見えたので、ユーロ円を選びました。
【取引1】 EUR/JPY 11月8日8時33分(売りエントリー) → 11月11日0時32分 (決済)
ユーロ円のエントリータイミング(赤矢印)は完璧で、綺麗な戻り売りができました。抵抗隊まで届くことなく下落に転じ、売り圧力の強さや買い手の弱さがうかがえます。その後、良い調子で下落をつつけたものの、指標などもあり10日に大きく反発しました。これに耐えられず決済をしてしまい利益額が大きく抑えられ、プラス2万円という結果になりました。その後大きく下落を続けていることから、取り逃がした利益が大きく悔しいです。
【取引2】 EUR/JPY 11月11日15時24分 (買いエントリー) → 11月11日20時8分 (決済)
下記のチャートの赤い水平線での反発を狙い、ユーロ円をロング(買い)でエントリーしました。この水平線は過去半年間ほど意識されていたものだったのですが、そのまま水平線を突き破り下落する結果となりました。しかし一つの水平線でしっかり反発するわけではないので引き続き反発する可能性を探っていきたいです。
下落トレンドに逆らう形だったので、もっとギリギリまで水平線に近づいてからエントリーすべきだったと反省しています。この取引で、マイナス2万円になりました。
利益確定とトレンドに反するエントリータイミングという今週の反省を生かし、来週も挑戦したいと思います。
とりあえずは、ユーロ円は反発するのかと、ドル円は上げ止まりなのか、それともこれ以上上昇するのかに注目していきたいと思います。「損切り幅をなるべく小さくし、利益は伸ばす」これを意識して来週も頑張りたいと思います。
今週の取引は、プラス・マイナスゼロ(取引1でプラス2万円。取引2でマイナス2万円)。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
ドル高の影響で、ひたすら下落し続けるユーロは、たまに来るドル売りでしか大きな反発が見えない状況となっています。2回目のエントリーですが、10日の米ニューヨーク市場で大きく反発したものの全戻し。翌日にその半値ほど反発した後に直ぐに戻す形となっています。このような時は戻り売りを狙っているトレーダーが多く、下落圧力が高い時です。そしてドル円の動きで上昇しても自律反発できないことがわかります。水平線では、このような動きが良くみられるため、覚えると割り込みやすいのか反発しやすいのか、判断しやすくなるのではないでしょうか。
11月12日現在 137万5000円
やっぱり! メキシコペソが着実(一橋大学 ボンゴレさん)
今週(11月8日週)は利益を確定するか、保有し続けるか、かなり迷った週となりました。まず、週初めで保有していた買いポジションは1メキシコペソ=5.45円、5.59円、5.63円の3種類(建玉レートは5.57円)です。前回は原油高が続くと予想されることを背景に1メキシコペソ=5.65円で売りの指値注文をしていました。
週が明けてもその考えは変わらず、加えてメキシコのインフレ率を背景に利上げが確実に起きてペソ円は上がるとかなり強気に判断し、指値は変更しませんでした。ただ、残念ながら今週のメキシコペソ円はその水準までいかず、週を超えて保有し続けることとなりました。
私にとって、選択を迫られる日となったのは11日です。メキシコペソが5.65円まで上がると予想して買っていたのにもかかわらず、5.52円近くまで下落しました。
この背景を私なりに分析すると、次のようなことが考えられます。
まず、前日10日に発表されたアメリカの週間原油在庫統計は3週連続での原油在庫の増加を示すもので、需給の結果、産油国であるメキシコペソに影響を及ぼす原油先物相場が下落しました。
二つ目はメキシコ中央銀行の政策金融決定会合で予想どおり政策金利の引き上げが実施されたものの、メキシコのインフレ率の高さもあり、これがすでに市場に織り込まれていたため、上昇材料にならなかったことが考えられます。素人の私でさえ、ほとんど利上げは確実だと思っていたことを振り返り、この結果を可能性のひとつとしても考えなかったことを後悔しています。
他の要因として考えたことは、米国の株安が投資家のリスク回避傾向をもたらし、新興国通貨であるメキシコペソ売りにつながったということです。
価格下落の材料が重なったことで、持っているポジションの損切りをするか迷っていたのですが、(1)最近はメキシコペソに集中していて他の通貨を見られていないのでメキシコペソの代わりに保有する通貨の候補がないこと(2)メキシコペソの売りポジションはマイナスのスワップポイントがかかるため保持したくないこと、を根拠に保有し続けることに決めました。
12日以降は、幸い5.55円台までは回復したので、このまま注意しながら見ていきたいと思います。
今週の結果はスワップポイントで得た7500円です。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
メキシコペソの上値が重い原因分析、正しいかと思います。原油に頭打ちが見えてきて、中国政府が「石油備蓄の放出に向けて取り組んでいる」と発表したことも下落要因となりました。加えて、強い米消費者物価の結果からドル買いペソ売りにもつながりました。
メキシコ中央銀行副総裁によると、11月の消費者物価指数は7%に達する可能性があると発言。(10月は6.24%)。利上げを実施している中で、物価上昇が止まらず、景気回復は鈍いことからスタグフレーション懸念が強まり、若干のペソ売りが広がっています。急落するにはもう少し材料が必要にも思えますが、ドル円が1ドル=115円を突破するなどドル高となった際には警戒したいところです。
11月12日現在 158万5485円
神奈川県出身。
上級者にカモられている!?(同志社大学 FOXさん)
◆ 今週(11月8日週)のスキャルピング
今週は児山将さんのワンポイントアドバイスでもあったように、どこに損切り置かれているのか意識しながらやってみました。以前からそのようなところを狙うことも頭に入れていたのですが、やはり、そのポイントをしっかり狙うのはなかなか難しく、あきらめていたところでした。
しかし、ある点に気づきました。僕は負けている時は明らかに損切りさせるような動きが続いて、損切りしたところぐらいで逆行して、切らなければよかったと後悔することが多々あるということです。なので、いつもここで入って切らされるなら、「どこで入ったらいいんや」と悩んでいました。
しかし、僕のようなまだ初心者が狙いに行くところなんてものは、上級者からしたら明らかにカモにされている気がしました。なので、いつも入るところを入らず、一回見守りその後の動き方で癖のあるところを狙うことを意識してみました。
それが、いわゆる損を巻き込むところにも共通するのかなと思いました。ただ、まだそのような視点を取り入れて、まだまだ時間が経っていないので、後もっと意識していきたいと思います。
◆ 今週の結果
11月8日(月) プラス18pips
9日(火) マイナス6pips
10日(水) マイナス7pips
11日(木) プラス2pips
12日(金) プラス10pips
今週の合計 マイナス3pips(114万6020円)
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
流動性が高く、巨大な投機マネーも動く為替市場では、損切りを付けにいくという動きが多々あるとインターバンクディーラーから何度も聞かされました。たとえば、高値圏で横バイ推移している時に、突如上昇し新高値を取る動きが出ます。再び上昇トレンド開始か? と思い、飛びつくトレーダーが多いかもしれませんが、途端に相場は急落し往って来いに。
その後は、大きく下落するという動きを見たことあるかもしれません。一般的に、この動きをだましといいます。しかし実際には、相場の天井感をみて、新高値にある損切りだけ付けにいって利益を出すことを狙ったディーラーの仕掛け的な売買によることが大きいのかもしれません。
11月12日現在 114万6020円
福岡県出身。
◆ 多忙のため、取引はお休みしました(早稲田大学 NAKAMURAさん)
前週からの損益 プラス・マイナスゼロ
11月12日現在 119万3665円
◆100万円増額計画 FX大学対抗戦のルール学生投資連合USIC
・元本100万円のデモトレードです。
・通貨ペアはクロス円取引とします。
・レバレッジは25倍を上限(法令に基づく上限)とします。
・取引の過程で資産が「ゼロ」(元本割れ)になった場合は、その時点でリタイアとなります。
・順位は、11月26日時点の運用損益で決めます。
「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
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