「ガソリン補助金は効果ゼロ、業者の懐を潤すだけ!」エコノミストも新聞も猛批判する理由

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「自由価格で成り立つ市場を補助金が歪めてしまう」

ガソリンの高騰が収まらない
ガソリンの高騰が収まらない

   エコノミストたちの批判も相次いでいる。

   野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は、「ガソリン価格高騰への対応で政府が補助金を導入~なぜガソリン価格高騰だけに対応するのか」(11月17日付)で、7つの問題点を指摘した。

「第1に、ガソリン以外にも輸入を通じた価格高騰は、エネルギー関連、食品関連など既に幅広く及んでいる。電力・ガス料金の値上げも同様だ。他の業界からも同様な補助金の導入を求める声が高まり、収拾がつかなくなることはないか。
第2に、この補助金制度は最終需要者である個人や運輸業者などを支援するものだが、一方で中間段階の企業を支援しないのは不公平になるのではないか。輸入原材料価格が高騰する中、最終財の生産者物価や消費者物価は比較的安定を維持している。これは、輸入原材料価格高騰の影響の相当分は中間段階で吸収され、既に中間段階の企業収益を圧迫していることを意味する。
第3に、ガソリン価格高騰の影響は、かなり広範囲な国民に及ぶ。他方、それを財政資金で支援することは、将来世代も含め国民全体の負担となる。補助金や給付などの制度は、本来、少数の企業や国民を、幅広い国民の負担で支援するものであるはずだ」

   費用対効果の面からも問題が多く、業者の懐を潤すだけの結果にならないかとして、こう続けた。

「第4に、ガソリン価格が170円を超えることを補助金制度発動のトリガーとした制度設計が検討されているが、170円を基準とする根拠がわからない。
第5に、補助金の上限を5円とすることが検討されているが、それでは、ガソリン価格がさらに上昇していけば、補助金の効果は薄れていってしまう。
第6に、補助金の分だけ元売り事業者が小売業者への販売価格を抑えても、ガソリンスタンドなど小売業者が値下げをせずに、その分利益を得る可能性もあるだろう。当初の狙いとは別に、小売業者を支援することになってしまう可能性がある」

   そして、こう結んでいる。

「第7に、本来自由価格によって成り立つ市場を、政府が補助金制度によって歪めてしまうことにはならないか。現在、11月19日の経済対策取りまとめに向けて、各省庁は多くの対策案を政府、与党に集約することを求められている。財政資金は国民の負担によって成り立っていることから、1円たりとも無駄にしないという姿勢のもと、経済対策の策定に向けて、政府には費用対効果の高い政策を厳選して欲しい」
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