他人にやさしくない日本では「ベーシック・インカム」が現実的かもしれない

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なぜ人は他人を助けるのか

   そこから、「そもそも、なぜ人は他人を助けるのか」という議論を展開している。人は程度の差はあれ、「見返りを期待しない」ピュアな利他主義を持っているという「共感・利他主義仮説」や、日本人は共感力が欠けているという「共感仮説」、高収入の人や高学歴の人ほどボランティアに参加しやすいという「資源仮説」、宗教的な人ほどボランティアに参加しやすいという「宗教仮説」などを検討。どれも一長一短があり、これが正解という結論は出なかった。

   そして、献血、寄附、ボランティア活動など、利他的な行動を促すには、「その行動が社会に役立っている」、「効果がある」と人々が実感することが重要である、としている。日本には潜在的に人を助けたいと思っている人は少なからずいるが、実行に移さないのはなぜか、という問いが浮かび上がってきた。

   新型コロナウイルスの影響で、日本政府は、特別定額給付金、持続化給付金など、さまざまな救済政策を講じてきた。中でも特別定額給付金は、収入による制限がなく、住民基本台帳に記録されている人なら誰でも10万円の給付を受けることができるという、ベーシック・インカムの考えに近いものだった。そこで、にわかにベーシック・インカムが注目されるようになった。

   そこで、田中さんは今年(2021年)2月に日経リサーチの協力のもと、日本人1800人を対象に独自に意識調査を行った。他人を信頼するかどうかについては、80.7%が「他の日本人を信頼していない」「用心するにこしたことはない」と回答。ベーシック・インカムについては56.6%が賛成だった。低所得者のみへの限定給付に賛成したのは52%で、ベーシック・インカムのほうが、支持率が高かった。

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