国産スマホ「バルミューダフォン」はiPhoneを超えられるか!? 「価格が...」「デザインが...」と残念がる声

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   世界でも珍しく「iPhone」の一人勝ちの状態が続いている日本のスマートフォン市場の「アップル帝国」に挑戦する会社が現れた。

   「おしゃれ家電」で知られるバルミューダ(東京都武蔵野市。寺尾玄社長)が2021年11月16日、自ら開発した「バルミューダフォン」の販売を発表したのだ。 携帯電話・スマホからの撤退が相次ぐ国内企業としては、久々の快挙である。しかし、スマホユーザーからは冷ややかな声が聞こえる。バルミューダフォンはiPhoneを超えることはできるのか!?

  • コンパクトなサイズのバルミューダフォン(公式サイトより)
    コンパクトなサイズのバルミューダフォン(公式サイトより)
  • コンパクトなサイズのバルミューダフォン(公式サイトより)

画面小さめ、持ちやすい大きさ

巨象アップルに挑戦するバルミューダの寺尾玄社長(公式サイトより)
巨象アップルに挑戦するバルミューダの寺尾玄社長(公式サイトより)

   バルミューダは、元ロックミュージシャンの寺尾玄社長が2003年に起業した「おしゃれ家電」として知られる会社だ。

   寺尾氏はミュージシャンの夢をあきらめた後、「ものづくりの道」に目覚め、秋葉原電気街に通ったり、町工場で働いたりしながら独学でプロダクトデザインを身に着けた。そして、ユニークなデザインの扇風機やトースターなどが大ヒット、昨年(2020年)東証マザーズに上場した。そんな寺尾氏がスマートフォンの世界に進出したわけだ。

   バルミューダの公式サイトや主要メディアの報道によると、11月16日に発表した「バルミューダフォン」は同社が開発し、京セラが生産を担当する。通信業者で販売するのはソフトバンクのみで、価格は14万3280円(税込み)。バルミューダのオンラインストアで買える10万4800円のモデルもあるが、いずれも安い買い物ではない。11月17日から予約開始、26日から発売する。

   高速通信規格「5G」に対応しており、基本ソフト(OS)はアンドロイドだ。ユニークなデザインの会社らしく、人の手になじむ曲線が特徴。背面には河原の小石をイメージした凸凹の加工が施してある。いまや6インチの画面が一般的で大きい端末が増えるなか、持ちやすいようとあえて画面を4.9インチに小さくした。

   スマホの国内のシェアは、米国アップルが45%を占め、韓国サムスン電子が約10%、中国オッポが約6%と、日本勢はどんどん減少している。海外メーカーに押され、日本のメーカーではNECやパナソニックが国内スマートフォン事業から撤退したほか、富士通も携帯電話事業を投資ファンドに売却するなど苦戦を強いられてきた。

「校庭に整列している生徒」のようなスマホ事情

   そうした中で、なぜ寺尾玄社長はあえてスマホ事業に挑戦したのだろうか。11月16日の発表会では、1日300円、500円で生活したロックミュージシャンの貧窮時代を振り返りながら、こう述べた。

「(昨年正月に)初めて『この会社はしばらく潰れないだろう』と感じた。そこで自分が一番やりたかったことを振り返って『パソコン』が思い浮かんだが、すでにパソコンは手のひらサイズになっていた」
賛否両論の背面がカーブを描くデザイン(公式サイトより)
賛否両論の背面がカーブを描くデザイン(公式サイトより)

   だから、スマホを目指したという。そして、こう語ったのだった。

「スマホは非常に個人的な道具なのに、画一的になってしまっている。選択の自由がない。ほかの人と区別のつかない道具を使っている我々は、まるで校庭に整列している生徒のようではないか。きちんと並べと言われると飛び出したくなるのが我々で、そこで作ったのがバルミューダフォンだ。iPhone以外のものをほしい人は必ずいる」

とアピールしたのだ。

   この巨象アップルに挑戦する寺尾氏とバルミューダフォンについて、インターネット上では驚きと称賛、そして冷ややかな声が錯綜している。ヤフーニュースのヤフコメ欄では、こんな意見が相次いだ。

   ITジャーナリストの篠原修司氏は、こう疑問を投げかけた。

「『BALMUDA Phone』はいわゆるバルミューダのおしゃれ家電シリーズの一つとして見た場合、納得のデザインと価格かもしれませんが、注意すべきは防水性能の低さです。10万円という価格ながらも(防水規格は)IPX4の生活防水レベルでしかありません。IPX4は『あらゆる方向からの水の飛沫を受けても有害な影響を受けない』というものであり、流水には弱いです。そのため、キッチンで使おうとして誤って水がかかってしまった場合、故障する恐れがあります。スマホをよく水に濡らしてしまうという人は購入前によく検討したほうがよいでしょう」

「テーブルにおいて使うとクルクル回りそう」

   ITジャーナリストの山口健太氏も、こう指摘した。

「発表会を現地で取材してきたのですが、大きく評価が分かれそうな印象を受けました。小型で持ちやすいスマホという発想は面白いものの、スペックや価格のバランスから不評の声が上がるのもわかります。一方で、南青山にオープンした初の旗艦店はアップルストアのように上質な空間になっており、トースターなどバルミューダの家電製品と並ぶことで独自の世界観を醸し出しています。バルミューダには他の端末メーカーや携帯キャリア出身の人材も参加しており、継続的に端末事業を展開していくとのこと。第2、第3の製品にも期待できそうです」

   多くのスマホユーザーからは「チャレンジ精神はいい」としながらも、価格が高すぎるという不満の声があがっていた。

「こういう『無茶やろ』ってチャレンジするところが後の成功企業になるし、そもそもチャレンジができる余力があるということなので。とはいえ自分は買わないけど...」
「どれも似たようなデザインで、見た目がつまらないスマホばかり発売されていく中で、デザインにこだわったスマホを日本の会社が作ってくれるのはとてもありがたいが、見た目からしてコレじゃない感がすごい。開発費を押し上げる原因になったアプリもわざわざ作った意味あるのか疑問。どうせならEssentialのGEMみたいなのを拾い上げてくれたほうが良かった。とはいえ選択肢が増えることは良いことなので、やれるだけやってみてほしい」
「もともと、そんなに数を売るつもりはないのかと。技術系のメーカーがよくやることだが、スペックはともかく自分たちだって作れるのだ! というのをアピールするためのものであって、これで儲けようとは思っていないのかも」
負けっぱなしの日本メーカーを応援したい気持ちはあるけれど......(公式サイトより)
負けっぱなしの日本メーカーを応援したい気持ちはあるけれど......(公式サイトより)
「負けっぱなしの日本メーカーを応援したい気持ちはあるが、コレは...。性能だけなら2万円の価値しかない。これに11万円という値段をつける経営陣は市場をまったく理解していないか、よほど自分のブランド力を過信しているかですな。中国メーカーのOPPOやXiaomiは2万円でこれ以上のスマホを作っています。デザインについては主観によるものだし好みがあるので割愛するけど、一つ言えるのは安っぽい」

   寺尾氏が胸を張ったデザイン面についても、こんな疑問の声があった。

「曲線が多いというのは3G時代のかなり古いスマホでよくあった特徴だし、背面もカーブしているから安定して置けないというか、置いてタップしたらカタカタ動きそう。そして電池の2500は少なすぎる。この内容だと、悪いが値段が5分の1じゃないと勝負できない」
「公式サイトで『人間の手は板を持つようにつくられていません(キリッ)』とか言っているが、そんなことはないだろ。普通に板状の物も持つし、今のスマホの使い方はテーブルにおくとか、いろいろあるからこういう形になっていることを、この社長はなにも理解できないのだね。これをテーブルにおいて使ったらクルクル回って使い物にならなそう」

(福田和郎)

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