GDPマイナス3%の衝撃! 「岸田政権の景気回復策では年内絶望的」エコノミスト8人が分析

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「賃金が上がらない日本は消費の力が弱い」

どんどんモノを買ってほしいが(写真はイメージ)
どんどんモノを買ってほしいが(写真はイメージ)

   比較的ポジティブにみているエコノミストでも、岸田政権の目標である「年内のコロナ以前の回復」が達成されると予想する人はいないようだ。

   みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介 上席主任エコノミスト(朝日新聞)は、

「個人消費は悪条件が重なった。緊急事態宣言でサービス消費が抑制されたところに『巣籠り需要』の一巡も重なり、パソコンなどの売れ行きが鈍った。夏場は暑くならず、エアコンも売れなかった。半導体不足で十分な台数が作れなかった自動車の販売は減少し、耐久消費財は大幅なマイナスになった。東京五輪・パラリンピック前のテレビ需要も4~6月期前までに落ち着いた。
そもそも日本は低成長が続き、働く人の賃金が上がらず、消費の力が弱い。そこが米国などの消費の強い国との違いだ。ただ、10月以降は街の人手が増えた。感染次第だが、10~12月期の成長率は年率6~7%に達するとみている」

という。

   慶應義塾大学総合政策学部の白井さゆり教授(日本経済新聞)は、

「実質GDPは4~6月期統計が発表されたときは予想以上に強い結果となったが、今回は逆に予想以上に悪い結果となった。オリンピックもあったが感染者数が増加し、緊急事態宣言による飲食店の営業時間の短縮などの影響が消費の下落に影響した。半導体不足やアジアでのデルタ株の感染者数の増加で中間財部品の生産が停滞したことも製造業の生産に打撃を与えた。
輸出は自動車が大きく下落しているが、中間財やIT関連製品など幅広く低迷した。中国向けの輸出コロナ危機前の状態を大きく超え製造業を支えていたが足元では低迷しており、中国経済減速が日本の輸出に長期的影響がでるか注視したい。成長率は10~12月期は大きくプラスに転じるだろう」

とみている。

   エコノミストで昭和女子大学研究員の崔真淑氏(ヤフコメ)は、

「半導体不足という供給面の影響も気になるところですが、在庫が前期比で上昇しているところをみると、需要不足への懸念も心配されるところです。供給側、需要側ともに弱いとなると、ガソリン価格上昇やなどもインフレ対策や、何かと話題になっているGOTO再開の需要喚起策への関心も高まるでしょう。
『強制貯蓄20兆円』(編集部注:家計にはコロナ禍の自粛によって強制的に貯蓄されている20兆円があり、それが使われると消費が一気に回復、企業業績が上向き、日本経済が力強くV字復活するという説)も、先行きが心配ばかりでは放出もされにくいでしょうし」

と指摘した。

   今後、私たちはどうすればよいだろうか。日本総合研究所調査部マクロ経済研究センター所長の石川智久氏(ヤフコメ)は、こう指摘している。

「確かに10~12月期は消費も上向きつつあるので、それなりのプラスの数字になりそうですが、原油高などの影響もあり、まだ景気回復の足取りは弱いと考えて対応を進める必要があります。
第6波が来ても緊急事態宣言を極力出さないこと、今度こそ医療リソースを拡充すること、少しでも即効性のある経済対策を実施することが経済の悪化を止めるために重要であり、国民としてはそうした声を上げていくことが不可欠です。米国などはコロナ前のGDP水準を回復していますが、日本はコロナの被害が小さい割に回復が遅れています。これ以上遅れないように経済対策を強化する必要があります」

(福田和郎)

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