くすぶるリスク要因は......
野村証券は電池の成長性などを評価し、目標株価を100円引き上げて6800円とした。SMBC日興証券は決算後のリポートで「印象はややポジティブ」と指摘。これまで赤字だったセンサー応用製品が7~9月期(第2四半期)に黒字化を果たしたことを「好印象」と記した。手がけるほぼすべての分野について、業績が改善している格好だ。
ちなみにTDKの海外売上高比率は9割を超えており、売上高全体の過半を中国向けが占める。中国経済は失速しているとはいえ、なお成長率が5%近くあり、TDKの中国向け売上高も伸び続けている。
ただ、TDKが通期業績の上方修正の理由に挙げた需要家による部材の在庫確保の動きは収束する可能性があるとの見方も出ている。
半導体不足などサプライチェーン(供給網)が乱れたため、完成品メーカーなどが部材在庫を積み増しているが、そろそろ通常モードに戻る可能性が出てきているためだ。在庫積み増しの反動で顧客の在庫調整による受注減も現実味を帯びており、この辺りが来期のリスク要因となりそうだ。
(ジャーナリスト 済田経夫)