人類は新しい道具の出現とともに情報過多に悩んできた【テレワークに役立つ一冊】

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「紙の手帳はいっさい情報を押しつけてこない」

   過去についての検証がパート2に充てられている。今と同じように、テクノロジーをめぐる狂騒が繰り広げられた7つの混乱期を取り上げている。そして、それぞれの章で、一人の思想家に着目している。

   登場するのは、プラトン、セネカ、グーテンベルク、シェイクスピア、フランクリン、ソロー、マクルーハンの7人だ。彼らは当時の「ツール」について深く考えを巡らせ、しかもそれらツールの多くは現在も使われているというから驚きだ。

   たとえば、シェイクスピアは「ハムレット」の中で、このデンマークの王子に手のひら第の気の利いた道具(ガジェット)を与えた。それは「手帳」だ。手帳はルネサンス期のイギリスで今のスマートフォン波に流行していたという。

   手帳には、以下のような数多くの用途があったことが、最近の学術論文に書かれている。

「詩、注目すべき警句、新語の覚書。説話、法的手続き、議会の論戦の記録。会話、レシピ、治療法、ジョークのメモ。家計管理や入出金記録。住所や会議の備忘。旅行時の通関記録」

   すでに印刷物が流通していた耳朶に、手書きの手帳が流行したのは、一度書いた中身を消して何度でも使えたのが大きい、と説明している。「押し寄せてくる、あるいは往々にしてそう見える膨大な人や情報を、押し戻す役割を果たしたのだ」。

   著者は現代においても、手帳のメリットをこう書いている。

「スクリーンは24時間休みなく言葉、画像、動画、音声を浴びせつづけるが、紙の手帳はいっさい情報を押しつけてこない」

   必要な情報だけを自分で選択し、頭の中に入れることができるのだ。

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