食品ロスの削減は「経済の効率性を高める」ためにも重要
食品ロスには、食品製造業や外食産業などから排出される「事業系」と家庭から排出される「家庭系」がある。600万トンの内訳では事業系が324万トン(54%)、家庭系が276万トン(46%)と約半分が家庭から排出されている。
事業系の食費ロスは、食品製造業から126万トン(39%)、外食産業116万トン(36%)、食品小売業66万トン(20%)、食品卸売業16万トン(5%)が排出されており、家庭系では123万トン(44.6%)が食べ残し、消費期限切れなどの直接廃棄が96万トン(34.7%)、食材の食べられる部分を捨ててしまう過剰除去が57万トン(20.7%)となっている。
日本は食料を海外からの輸入に大きく依存していることは前述した。豊かそうに見える日本だが、じつは貧困率の基準となる等価可処分所得の中央値の半分である122万円に満たない世帯員の割合では、子どもの貧困率は13.5%となっている。子どもの7人に1人が貧困状態にある。
近年、活発化しているのが、貧困家庭や養護施設などに、企業や家庭から提供された食品を提供する事業だ。フードバンクなどと言われるこの事業は、食品ロス削減推進法にも国の支援が盛り込まれており、事業団体は増加している。
食品ロスの削減には、さまざまな取り組みが行われている。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大により、外出自粛やテレワークが普及していることを要因に、家庭ごみの排出が増加傾向にあるという現実もある。
2019年度に、し尿処理を除いた一般廃棄物の処理(ごみ処理)には2.1兆円が使われている。食品ロスの削減は、食料問題だけではなく、経済の効率性を高めるためにも重要な課題だ。