メキシコペソでプラス確保!(慶応義塾大学 2Gさん)
FX大学対抗戦24週目。先週から今週(11月1日週)半ばまで体調を崩しており、あまりきちんと分析できなかったので、今週は取引を行わなかった。今回もふだんと同様に今週の流れと今後の動きを整理したい。
◆ 今週の流れ
11月1日週は、ドル高と円高が優勢だった。注目は各国中央銀行の金融政策発表に集まった。オーストラリア(豪)中央銀行は3年物国債利回り目標を廃止し、量的緩和の出口に一段階進んだ。しかし、政策金利についてはインフレが持続的に枠内に収まるようになってからとし、利上げには慎重な姿勢をみせた。
米FOMC(米連邦公開市場委員会)は今月からの資産購入ペース縮小開始を発表、月額150億ドルずつの縮小で、来年半ばまでのタイムラインを設定した。パウエル議長の会見では市場が期待していたような利上げのヒントについての言及はほとんどなかった。ドル相場は神経質に上下動したが、ややドル売りに傾く程度だった。
英イングランド銀行(中銀)は事前に利上げと据え置きの見通しに二分されていたが、今回は据え置きを決定。資産購入枠も据え置いた。英中銀のベイリー総裁は、市場の利上げ期待の強さに警戒感を表明した。
ラガルドECB(欧州中央銀行)総裁が、来年に利上げの条件が整う可能性は極めて低いと、市場の利上げ観測をけん制。いずれの中央銀行も利上げについては市場が期待したような強い内容はみられなかった。
消去法的にドルが買われる面が強かったようだ。一連の中銀イベントを通過して、週後半は調整ムードが広がった。ドル円の上値が重くなり、クロス円も下押しされた。週末の米雇用統計では雇用者数の伸びが予想を上回り、失業率も予想以上に低下し、ドル買いに反応した。しかし、その後は米債利回りの低下とともにドル買いは一服した。
◆ 今後の動き
来週は10月の米生産者物価指数(PPI)や米消費者物価指数(CPI)など重要インフレ指標に注目が集まる。また、経済、財政、中央銀行にける多様性の受け入れに関するビデオ会議に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が参加を予定しているほか、クラリダ副議長も、財政策と金融策に関してのイベントに参加予定で、発言に注目が集まる。
サプライチェーンの混乱や供給ひっ迫によるエネルギー価格上昇が、世界的なインフレに繋がっている。賃貸の上昇も顕著で、10月の米消費者物価指数(CPI)は前年比で1990年以降31年ぶりの大幅な伸びが予想されている。FRBがインフレ指標として注視しているエネルギーや食品を除いたコアCPIも伸びが拡大する見込み。今後はパウエル議長が言及したとおり、来年の第2、第3四半期までにインフレが弱まるかどうかを睨む展開となる。
一方、新型コロナワクチンに続き、高リスク患者の入院・死亡を89%減らす飲み薬の開発も進み、食品医薬品局(FDA)の前局長ゴットリーブ氏は、パンデミックが来年1月までに終了する可能性に言及。新型コロナへの脅威がさらに後退し消費者信頼感の改善にもつながり回復ペースを加速することが期待できる。
今週は特に原油価格が大きく変動した。要因はいくつかある。まず、週間原油在庫統計の結果が市場予想以上の水準であったことから、売りが先行しWTIが下落した。ここ数週間メキシコペソの買いポジションを保有しながら待っていた。OPECプラスの閣僚級会合では、従来の協調減産の縮小が維持され、追加増産は見送られた。
この結果を受けて、需給ひっ迫懸念から買いが先行し、原油先物価格は上昇。アメリカの雇用統計の結果が雇用者数の増加など景気回復期待を強めるものであったことや、米国金利が下がったことを背景に、原油を含むリスク資産が買われたことも価格が上昇に転じた背景だと思われる。
メキシコペソにとっては、原油価格の上昇がプラスに働いただけでなく米金利が低下したこともメキシコペソ高に転じる要因であったと考えられる。週の初めに持っていた買いポジションは1メキシコペソ=5.59円と5.63円。それに加えて、メキシコペソ円が少なくとも1メキシコペソ=5.6円台まで回復すると見込んで実施していた5.5円、5.45円で買いの指値注文は週の前半に約定された。
先週予想していたように5.6円台まで上がることはなかったが、5.5円台後半まで上昇して安心している。一時期は下落のために証拠金維持率が低下して損切りしなければと考えていたが、迷っている間に上昇に転じ、ありがたいことにギリギリ難局を乗り越え、ポジションを保有し続けることができた。
ただ、今後もこのようなことがあると怖いので、5.5円での買いポジションは1メキシコペソ=5.55円で売り、1万円の決済益を得た。それ以外のポジションは1メキシコペソ=5.65円で指値注文をしている。
今週の結果は1万円(週の途中で使用しているデモトレードサイトの期限が切れ、スワップポイントは計上できなかった)。
◆ 児山将のワンポイントアドバイス
オーストラリア(豪)は金利が上昇しており、利上げ期待も高まっていましたが、そうはならずにここからクロス円は円高が大きく進むきっかけとなりました。豪州中央銀行でクロス円全体が大きく動くことはあまりないのですが、それだけ投資家は今のインフレ経済から早期の金融引き締めを期待しているのだということがわかります。
11月5日現在 121万5000円