「新しい資本主義」とはどういうものなのか?
そもそも、「新しい資本主義」はアベノミクスの光が当てられてこなかった人たちに目を向ける岸田カラーの象徴だったはずだ。しかし、その具体化を図る、新しい資本主義実現会議の参加者や事務局内でさえ「新しい資本主義」とはどういうものなのか、イメージが共有されていない。
会議という「箱」は作ったものの、岸田首相自身のビジョンが明確でないため、従来の成長戦略をたたき台にするしかなかったのが実情だろう。
霞が関では、もともと会議の迷走を懸念する声が少なくなかった。ある省庁の幹部は緊急提言の中身を見て、冷ややかにこう語った。
「経済対策ありきで打ち出しただけの完全なお手盛り。首相が訴える『新しい資本主義』の底の浅さが露呈した」
(ジャーナリスト 白井俊郎)