「スマホに弱い人」がドンだけ多くの人を困らせているか
――投稿者がこれほどバッシングを受ける背景には、現実に身近に父母や姑など、投稿者と同じように「スマホに弱い人」がいて、迷惑をこうむっている人が多い面があるのですね。
川上さん「似た経験をしたことがある人が非常に多いのではないでしょうか。さらに年配者から聞かれると、立場が上であることから、なかには横柄な物言いをされる人もいると思います。年配者からすれば、使い方がわからない時点でイライラしていたりするものです。つい口調がキツクなってしまうかもしれません。
また、普通にスマホを使っている人をみると、簡単に教えてもらえそうな印象を受けてしまいます。しかし、教える側は、どう伝えればわかってもらえるだろうかと頭を悩ませながら対応することになります。そんな、聞き手側と聞かれる側との間にあるギャップが、感情的な摩擦を生み出す原因になっているように思います」
――しかし、年配者の中には携帯ショップ代わりに職場の若い同僚からタダでスマホを教えてもらおうという打算とは別に、若い人からスマホやパソコンを教わることを一種のコミュニケーションのきっかけと考える人もいます。「いい関係を築けた」と思ったという年配者もいますが、そうした考えは独りよがりだということですか。
川上さん「正直、かなり個人差があると思います。同僚がIT機器をスイスイ使っている姿を見て、『ちょっと教えてくれるくらいいいだろ』と押し付けるようなスタンスだと、疎まれてしまうように思います。一方で、IT機器を使いこなす同僚の腕を見込んで教えを乞う、頼る、というスタンスだとむしろ喜んで教えてくれる人が多いように思います。
その点、『私にはわかりません』と拒否の言葉を投げかけられている投稿者さんは、同僚とあまり良い関係を築けてないように映ります」
――一般論として、「情報弱者」の人は職場ではどういうことに気を付けるべきでしょうか。
川上さん「相手の負担度合いを想像することが大切だと思います。これは、IT機器の使い方に関することに限らず、○○さんの連絡先を教えて欲しい、などちょっとした質問の際にも共通することだと思います。 もし、○○さんの連絡先を確認するために、倉庫の奥にある段ボールをいくつもひっくり返さなければならないとわかっていれば、気軽に聞くことはしないでしょう。IT機器の使い方では、聞かれる側の大変さが把握しづらいのが難点です。そのため、こういうことが知りたいのだが、答えるのは結構大変そうかな? と負担度合いを確認しながら聞くのがよいのではないでしょうか」
――投稿者は、これから仕事をするうえで、どういうことに気を付けるべきでしょうか。川上さんなら、ズバリどうアドバイスをしますか。
川上さん「投稿内容を見る限り、『うちの会社は厳しくないのでスマホを見ていても注意されない』『スマホの使い方くらい教えてくれてもいいのに』『私が家で作った漬物や野菜を頻繁に渡している』など、投稿者さんはご自身の目線からの情報が唯一のモノの見方であるかのように、物事を断じてしまうところがある印象を受けます。
うちの会社はスマホを見ていても注意されない、というのは単に注意をしないだけであって、しっかりした上司であれば、きちんと見ています。注意されないから仕事中にスマホを見てもよいという考え方も褒められません。同様に、漬物や野菜がどれだけ自信作であっても、『ご迷惑じゃない?』と一声かけて確認することで、相手側の気持ちを知ることができるはずです。
スマホの使い方を聞く際に、相手の状況を確認しながら上手にコミュニケーションをとりながら教えてもらっている人もいます。投稿者さんは決して、同僚を困らせてやろうとか思っているわけではないので、疎まれてしまうきっかけではなく、新たな親睦の機会となるようコミュニケーションをとっていただきたいと思います」
(福田和郎)