前回に続いてモチベーションが低いようにみえる人がやっていることの特徴を紹介したいと思います。
仕事で達成感を得たいと考えている人は、そのことがいつも頭の中にあるため、仕事に大きなエネルギーを注ぐことができます。つまり、モチベーションが高い状況で取り組むことになります。一方で仕事のモチベーションが低い人は、何も目的を持たずに仕事をする傾向があります。
「生活を向上したい」という気持ちをもつ
取材した製造業勤務のGさんは、誰がみてもモチベーションが低い存在。誰が声をかけても小さな声で返すだけ。自分から手をあげて仕事をやったことがないのではないか? と周囲では思われています。
あるとき、同僚が「何のために仕事をしているのか?」と、聞いたところ「当面の生活費を工面するためのもの」との答えが返ってきたとのこと。生活のためとの観点を否定するものではないですが、その生活を向上させる意欲もないことがモチベーションの低さにつながっているのかもしれません。
いまよりも高い給与を得て、広い部屋に住みたい、時計が欲しい、おいしい食事がしたいなどの生活向上を求めず「平穏で変化のない生活」を好む傾向がモチベーションに低い人にあります。
人は変化のない毎日が続くと、エネルギーが低下し、何に対してもやる気を出すことができなくなってしまうと言われています。そのため、このような毎日を過ごしていたら、仕事に対するモチベーションが低くても仕方がないかもしれません。
さらにそのような生活から抜け出すための刺激を得ることも、避けて通る傾向があります。そのため、積極的に人に会って刺激を受けたり、何かの勉強をして自分を奮い立たせたりするといった行動も起こそうとしません。ある意味で居心地がいい場所なのかもしれませんが、巻き込まれると同じような仕事ぶりに安穏としてしまうことになりかねません。
こうしたモチベーションの低い同僚と飲み行ったところ、意外にも心地よかった。それで、自分も同じような価値観に近くなり、周囲から疎まれる存在になってしまった知人がいます。近づかないほうがいいかもしれません。
目の前の仕事に打ち込む大切さ
また、自分自身や仕事に対して、ネガティブな思いを持っている人は、モチベーションが低い傾向があります。
積極的に刺激を受けて、その状態から抜け出そうとする意識も低いため、なかなかエネルギーが高まりません。その結果「目的を持たずに働き続ける」という状態が何年も続いてしまいます。取材したGさんのことに通じますね。
加えて、自分の会社とか仕事を聞かれたときに「大した会社ではないので」とか「口に出すのは憚れる」と避けたりしがちです。謙遜していると受け取ることができなくはないですが、こうした発言が繰り返されると、結果として殻に閉じこもり、低いモチベーションの状態から抜けられないスパイラルに堕ちていくのでしょう。
こうなった人に手を差し伸べてくれる人は、なかなかいません。自力で抜け出すべきと気づき、努力しないと、周囲から孤立してしまうリスクさえあります。
では、抜け出すにはどうしたらいいのか?
まずは目の前の仕事に打ち込み、最後まで完璧にやり遂げるという意志を持つことが大切です。そのように意識することで、自分を奮い立たせる刺激を得ることができ、その仕事をやり遂げた後には、自分に自信を持つことができるようになります。その結果、モチベーションも上がっていくでしょう。(西野一輝)