「一時金の10万円」より「毎月の1万円」を
一方、「一時金のバラマキ」より「毎月コンスタントに1万円ずつ」の給付をしたほうが効果的ではないか、と提言するのは、経済評論家で楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元氏だ。経済ニュースサイト「ダイヤモンド・オンライン」(11月10日付)の「18歳以下に10万円相当給付、所得制限もクーポンも頭が悪すぎる理由」の中で、自民党と公明党の「妥協」を、こう厳しく批判している。
「『18歳以下に一律で10万円の現金を給付』するとされていた政策案が、自民・公明両党の幹事長会談を経て変容した。5万円分は教育関連に使途を限定したクーポンに姿を変えてしまったのだ。この『クーポン』と、自民党が主張している『所得制限』の導入が、いかに不公平で非効率で頭が悪すぎるかをお伝えしたい。
お金持ちにも現金を給付するのはおかしいという議論は、その部分だけを見ると正しいように思える。しかし再分配の効果は、『給付』と『負担』の『差額』で見るべきだ。手続きを考えると、給付を一定にして迅速に行い、負担面である税制を変化させて『差額』をコントロールするほうが圧倒的に効率的だ。両方を調整するのは制度が複雑になるし、時間とお金の両面で非効率的だ。
所得ないし資産の面で富裕な国民に追加的な負担を求めたらいい。負担が増えた国民と、差額で使えるお金が増えた国民とがいて『再分配』が実現する」
そして、山崎元氏は「18歳以下に一律現金10万円」のバラマキ案のダメなところ」をこう説明する。
「(1)『18歳以下の子ども』という支給対象選定が公平でないこと。(2)継続的な効果がない一時金であること。たとえば、『大学生の子どもがいる母子家庭』のような家には支援がない。そもそも非正規で働いて低所得であるといった理由で、子どもを持つ余裕がない人もいるはずだ」
そこで、こう提案するのだった。
「『1回だけの10万円』のような給付は、受給者にとって安心感が乏しいし、従って前回(編集部注:安倍政権時の全国民一律10万円給付)と同様に支出を促す効果も乏しいはずだ。『子どもの未来』などと言うなら、継続的な支援を考えるべきだ。対案としては、『毎月1万円』のような給付が考えられる。たとえば国民年金の保険料を全額一般会計負担(税負担)にすると、低所得な現役世代には苦しい毎月1万6610円の支払いがなくなって、『手取り収入』が将来にわたって増えることが予想できる」
(福田和郎)